AGP、3Q累計は前年比増収増益で、営業利益は黒字転換
2023年2月4日 10:04
目次
大貫哲也氏(以下、大貫):みなさま、こんばんは。社長の大貫哲也でございます。本日は、当社の第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
それでは、目次に沿って進めていきます。決算のご説明後に、中期経営計画の進捗についてもご説明します。
2022年度 第3四半期決算報告 Executive Summary
第3四半期決算の概要、Executive Summaryです。今期は対前年で増収増益という結果を残すことができました。売上高は航空需要の回復加速によって増収となっています。原材料費の高騰によるコスト増はあったものの、継続的なコスト削減施策を積み上げた結果、全体の伸びを抑えることができ、利益の増加に結びつきました。また、対計画でも増収増益となっています。
これらを踏まえ、営業利益の通期業績予想を上方修正するとともに、期末配当予想を15円増配し一株当たり25円とし、年間配当予想を一株当たり30円に修正しました。
2022年度 第3四半期決算報告 損益計算書
損益計算書の概要です。売上高は79億3,800万円、対前年5億800万円、6.8パーセントの増加となりました。主な要因として、動力供給事業は航空会社の運航便数の回復加速により増収、エンジニアリング事業は空港内の特殊機械設備の保守業務の増加により増収となっていますが、商品販売事業は減収となりました。
売上原価については原材料費や人件費の増加等はあったものの、各種費用の効率化に努め、2億6,800万円、対前年4パーセントの伸びに抑えています。
全社費用は5,700万円、対前年8.8パーセント増加しましたが、これらを合算した費用全体では売上高の伸びに対して抑えることができました。そのため、営業利益は前年の100万円の赤字から、1億8,100万円の黒字に転じています。
経常利益は1億7,100万円、当期純利益は固定資産除却損、売却損の影響により5,800万円となっています。
2022年度 第3四半期決算報告 事業別売上高
事業別の売上状況についてご説明します。今期は第2四半期と同様に、動力供給事業を大きく回復させることができました。国内線では行動制限の解除等により人の往来が回復したこと、国際線でも出入国の水際対策が秋以降段階的に緩和されたこと等により、航空会社の運航便数が着実に回復しました。それに伴い、当社の動力供給事業の増収に結びつけることができています。
このほかに整備保守、ビジネスジェット支援、セキュリティ保守、GSE等販売などの事業についても、航空需要の回復に代表される販売環境の好転があり、増収となっています。
また、物流保守サービスについては、持続的な企業成長と過度に空港に依存しない体質を作り上げる観点から、昨今力を入れており、順調に収入増を図ることができました。なお、フードシステム販売については、前年の反動で大きく減収となっています。
2022年度 第3四半期決算報告 2022年度業績予想の修正について
当社の第3四半期決算を踏まえ、2022年度の業績予想を修正しました。売上高は従来111億7,000万円を予定していましたが、2億7,000万円減の109億円としています。
先ほどお伝えしたとおり、主力の動力供給事業ならびにエンジニアリング事業は堅調に推移していますが、商品販売事業はフードシステム販売が前年の反動もあり伸び悩んでいます。また、GSE等販売もお客さまからの発注先送り等があり、当初計画を下回る予定です。
一方で営業利益については、各種コストが想定を下回ったこと等により、2億4,800万円の計画から、1億6,200万円増の4億1,000万円に上方修正します。これに伴い経常利益は同額の1億6,200万円増、当期純利益は1億1,300万円増となっています。
四半期対計画推移はスライド右側のグラフのとおりです。これまでもお伝えしてきたとおり、下期に向けて売上高・営業利益ともに伸びていく構造となっています。
2022年度 第3四半期決算報告 貸借対照表,分析指標
第3四半期は事業活動の結果と利益計上による変動に加え、自己株式88万株の取得を行ったため、バランスシートに動きが出ています。資産合計は131億6,700万円、10億8,200万円の減少となりました。
現預金は自己株式の取得や配当金の支払い等により4億7,100万円の減少、その他流動資産は例年の傾向どおり営業未収入金が期末対比で減少、固定資産は約3億円の設備投資を行いましたが、減価償却の進行もあり減少しています。
有利子負債は返済が進み、1億2,900万円減少の10億2,100万円です。純資産の減少要因の大半は、自己株式取得により6億3,800万円減少したことによります。自己資本比率は65.7パーセントと、変動はありません。
2022年度 第3四半期決算報告 セグメント別損益 ~ 動力供給事業 ~
ここからは、事業セグメント別の概況をご説明します。まずは、動力供給事業です。売上高は前期比16.1パーセント増の31億8,200万円となりました。この結果、セグメント利益は昨年度の7,800万円の赤字から、1億6,500万円の黒字へと転じています。
動力供給事業は、地上滞在中の航空機に電力や冷暖房といった動力を供給する事業です。航空機はAPU(航空機補助動力装置)を回し、自ら動力を作り供給が可能です。しかし、当社がこれをGPU(地上動力設備)から効率よく供給することにより、CO2の排出量は約10分の1に削減され、航空会社にとってはコスト削減のメリットもあるサービスです。
2022年度 第3四半期決算報告 セグメント別損益 ~ 動力供給事業(売上高分析)~
動力供給事業の現状分析と課題・対策です。当社の取り扱い便数である供給機会は、国内線で30.2パーセント増、国際線でも18.6パーセント増と伸びました。特に、国際線については今後の伸びを大いに期待しています。
一方で、供給機会に対する供給率は悪化しているため、CO2排出量削減の時流に乗り、航空会社にとってコスト削減につながることをご説明しつつ、営業強化に努めます。
また、便単価は機材の小型化や運航便数増加に伴い、地上の滞在時間が短縮されたことから、使用時間の減少を加重平均した数値となります。供給機会の増加の裏返しで減少に転じているとご理解いただければと思います。
2022年度 第3四半期決算報告 セグメント別損益 ~動力供給事業(電力料分析)~
動力供給事業の原材料費の1つである電力料の高騰が、当社に与える影響について分析しています。スライド左上のグラフのとおり、電力単価は第2四半期以降に急激な伸びを示しています。
その結果、電力料は第3四半期で計画値を超えることとなっており、予断を許さない状況です。そのため、新年度からはコスト上昇分をお客さまにご負担いただくべく、価格改定に向けて調整中です。
2022年度 第3四半期決算報告 セグメント別損益 ~ エンジニアリング事業 ~
エンジニアリング事業です。売上高は前期比3.5パーセント増の40億7,400万円、セグメント利益は前期比8.7パーセント増の7億6,200万円となりました。
エンジニアリング事業には、空港内の手荷物搬送システム、搭乗橋といった特殊機械設備や、空港内外の爆発物検査装置等の保守業務などがあります。航空需要の回復に伴い、これらに関しての事業環境が好転しています。
また昨今、空港内の手荷物搬送システムで培った技術を空港外の物流センター等の搬送システムに応用し、この分野に力を入れています。eコマースの進展等により物流センターの建設が続いていますので、当社もこれに合わせて事業拡大を図ります。
2022年度 第3四半期決算報告 セグメント別損益 ~ 商品販売事業 ~
商品販売事業では「フードシステム販売」と称し、保冷・再加熱対応のフードカートを病院や介護福祉施設に販売する事業や、「GSE等販売」と称し、航空機地上支援機材等をエアラインなどに販売する事業、そのほかに電力販売を行っています。
第3四半期は、前年の反動でフードシステム販売が伸び悩んだ一方、GSE等販売は徐々に販売環境が改善し、売上増につなげることができました。セグメント利益は、残念ながらフードシステム販売の減収の影響を受けて赤字となりましたので、もう一段上の売上回復が必要となっています。
以上が、2022年度第3四半期決算の概要です。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 中期経営計画数値目標 『経営方針&全社数値目標』
続いて、中期経営計画の進捗についてご説明します。スライドは、昨年5月26日に発表した中期経営計画の数値目標等をまとめたものです。早期にコロナ禍前の売上、利益水準に回復させ、さらなる成長につなげることとしており、将来的には売上高200億円を視野に入れています。
ROEの向上、成長と事業リスク回避の双方の観点から空港外売上比率の向上、GPUの利用促進を通じてCO2排出量の削減に取り組んでいきます。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 中期経営計画の経営方針 『戦略全体像』 ~ 3つのステートメント経営戦略3本の柱~
当社は中期期間を通じて、数値目標などの経済的価値の創出にとどまらず、環境貢献や社会貢献も同時に達成していく企業でありたいと考えています。それに際しては「ESG経営の推進」により「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」を果たすことを基本的な考えとしています。
そのために、経営戦略の3つの柱として「選択と集中」「事業基盤のシフト」「経営基盤の強化」を進めます。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 中期経営計画の経営方針 『戦略全体像』 ~ AGP事業戦略マトリクス~
詳細は割愛しますが、スライドは戦略マトリクスについて記載しています。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 重点施策の進捗 ~ ESG経営の推進 ~
中期計画で掲げた施策のうち、いくつかの進捗項目を取り上げてご説明します。「ESG経営の推進」については、ソーシャルの部分で具体的な進展がありました。
まず、従業員株式給付制度の導入です。2023年度から、従業員に自社株式を給付するインセンティブプランを導入し、経営と従業員が一体となり株価向上を目指すサイクルにつなげたいと考えています。また、AGPの退職金制度を統一し、併せて一律に確定拠出型年金を導入することとしました。
ダイバーシティに関しては、意識改革に向けた目的別セミナーやワークショップの開催、各種調査の実施などを行うとともに、外国籍社員のさらなる活用に向けた取り組みを行っています。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 重点施策の進捗 ~ 商品開発(商材の開発および販売)~
商品開発領域で3点ご紹介します。1点目は、高効率電力変換装置の開発です。消費電力が最大4パーセント減少することにより、動力供給事業においてCO2の削減や採算性の向上が見込まれます。
2点目は、充電式電動ブレーキクーリングカートの開発・販売です。当社はGSE等販売事業で、着陸後に高温となった航空機のブレーキ温度を低下させるための装置である、ブレーキクーリングカートを販売しています。従来のガソリンエンジン式を電動充電式に変えることに成功し、商品化しています。すでに受注をいただいており、空港におけるCO2排出量削減に向けて有効な商材であると捉えています。
3点目は、クルーズ船入港対応伸縮通路(Passenger Boarding Roof)です。航空機搭乗時にお客さまが駐機場を歩く際に伸縮型の屋根付き通路を用いサービス向上を図るべく、GSE等販売事業の中で商材化しています。今回、これを港湾用に作り替え、納入実績を残すことができました。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 重点施策の進捗 ~ 多角化(環境 X 電力 X DX)~
当社は中期経営計画の成長に向けた重点施策の1つとして、空港車両のEV化に関連した事業の創出を検討しています。CO2削減は空港において重要な領域と捉え、また、当社が空港の電気インフラ事業者としてこれまで地歩を固めてきた経緯から、事業化のチャンスがあると考えています。
2022年には高松空港と羽田空港で、空港を運営する会社や国内大手エアラインとの協業による、電動トーイングトラクター(EV)の配備や充電設備の設置といった実証実験を開始しました。今後、順次拡大予定です。
中期経営計画進捗 ~持続的な企業成長に向けて~ 『資本政策』 の進捗
資本政策です。株主還元については、2022年度期末配当予想を10円から25円に引き上げました。この結果、2022年度の年間配当予想は30円となります。
当社は株主のみなさまへの還元をこれまで以上に充実させるため、配当および自己株式取得に積極的に取り組み、本中期経営計画期間である4年間の総還元性向100パーセント以上を目指すこととし、その一環として増配を決定しました。
また、スタンダード市場での上場維持に向け、流通株式比率の改善が課題となっており、当第3四半期では88万株の自己株式取得を行いました。また、その半数の44万株の消却を発表しています。
上位3事業法人との間では、当社株式保有比率の低減に向けた協議を継続しています。浮動株の絶対数を増加させ、同時に株式価値を高めることにより、個人投資家や機関投資家のみなさまに評価いただけるように努めます。そのためにも、経営の透明性を高め、積極的にIR、PR活動の推進を継続します。
以上で、決算ならびに中期経営計画の進捗についてのご説明を終わります。ありがとうございました。
質疑応答:供給コスト増加分の価格転嫁による利益幅の回復と交渉先の反応について
司会者:「動力供給事業について、供給コスト増加分の価格転嫁を交渉中とのことですが、利益幅はコロナ禍以前程度まで戻るイメージでしょうか? また、価格転嫁についての交渉先の反応はいかがでしょうか?」というご質問です。
大貫:先ほども動力供給事業の電力料の推移をご説明したように、特に7月以降くらいから電力料が上がり、当社の動力供給事業を圧迫していることは事実です。
利益幅が薄まることになりますので、この価格上昇分をご負担いただけるよう、鋭意、航空会社と交渉しているところです。価格の上昇分をそのまま転嫁させていただくことにより、従来の利益幅をキープできるように交渉を進めています。航空会社は多数ありますので、ご理解いただけるようにしっかりとコミュニケーションを重ねていきます。
質疑応答:非航空機事業の目標値達成に向けた施策について
司会者:「非航空機事業の目標値達成に向けて、具体的にどのような施策を行いますか?」というご質問です。
大貫:先ほど中期経営計画のところで触れましたが、空港外の売上比率を20パーセントにする数値目標を持っています。過度に空港に依存しないという観点と、空港以外のセグメントでも成長するという観点から、空港の外に向かっていこうと考えています。
eコマースの進展により、現在は空港外に物流センターや配送センターなどが多数建設されており、その倉庫の中では物品の搬送システムが稼働しています。このような領域では、当社が50年来空港で培ってきた、お客さまの手荷物を乗せるベルトコンベアシステムのような技術を大いに活用できると考えています。長年培ってきた技術力を空港外に拡大することにより、売上比率向上を目指していきます。
質疑応答:配当額や次年度以降の売上見込みについて
司会者:「配当額について、過去よりもかなり増やしていますが、継続されると考えてよいのでしょうか? 継続されるのであれば、次年度以降の売上高も大きく伸びるとみているのでしょうか?」というご質問です。
大貫:昨年に発表した中期経営計画の中では、株主還元を今まで以上に充実させ、具体的には4年間の総還元性向を100パーセント以上と設定しています。その方針に基づいて、今回の年間配当予想は1株当たり30円に修正したとご理解いただければと思います。
来期以降については、空港セグメントである動力供給事業、エンジニアリング事業の回復を見込んでおり、さらに、空港外に対する事業拡大も徐々に進んでいくと考えています。これらにより来期以降の売上を拡大しながら、株主のみなさまに安定的に配当できるように努めていきます。
質疑応答:国内で事業を展開している空港の割合にについて
司会者:「現在、国内で事業を展開している空港の割合はどのくらいありますか?」というご質問です。
現在、日本国内には約100の空港がありますが、100空港に対して、当社は主要空港である10空港に展開しています。
質疑応答:総還元性向100パーセント以上の具体的なイメージについて
司会者:「来期以降の総還元性向100パーセント以上の具体的なイメージとして、現状の株価の評価と、自社株買いや配当の比率についてお考えがあれば教えてください。多くは今期のように配当による還元だと考えてよいのでしょうか?」というご質問です。
大貫:総還元性向100パーセントの具体的なイメージとしては、自社株買いと配当をミックスして実施したいと考えています。具体的な数字については、資本政策全体を考えながら適宜発表していきます。
現状の株価に対する評価については、昨年の夏・秋時点は550円ほどで推移し、PBRが1倍を割るという状況でしたが、PBR1.0倍を超えるために努力を重ね、本日(2023年1月31日)の終値は801円となっています。この先さらに株価を上げられるように経営に努めていきます。
質疑応答:販管費削減のための取り組みについて
司会者:「販管費削減のために、具体的にはどのようなことに取り組んだのか教えてください。また、来期以降の販管費削減の余地について、どのように考えていますか?」というご質問です。
大貫:削減のための取り組みについては、例えば社外との契約の際に、ビットで各社見積もりをお願いして、価格を比較しています。
販管費の中には交通費や海外出張旅費などがありますが、出張人数の削減や回数の見直しなど、あらゆる部分についての削減・見直しを行ってきました。経費を削減するための活動や、日々の経費の使い方は社内の文化として一定程度根づいてきていると思いますので、引き続き、無駄なコストが出ないように引き締めて、業務を行っていきたいと考えています。
質疑応答:地方空港への動力供給事業の展開について
司会者:「地方空港への動力供給事業の展開について、コメントをお願いします」というご質問です。
大貫:日本には約100の空港がありますが、当社が事業展開している空港は10空港になります。逆に言いますと、残りの90空港については拡大の余地があるということです。一方で、それらの空港は運行便数が少数であることや、乗り入れ機材が小さいなど規模の違いがあり、主要10空港とは事業性が異なります。
したがって、小型機に対するソリューションを用意するべく、小型機に対応した充電式の電力供給装置を開発して、現在試験を行っています。また、当社が40パーセント出資している、航空機用の動力供給を行うSASJという会社では、電力供給と空調の供給を同時にできるような装置、車両を開発しています。これらが活用できるような、小型機に向けたソリューション開発が鍵になってくると考えています。
国土交通省の方針としては、国内の全空港において地上動力装置を用いてCO2排出量削減を行うことが示されていますので、我々も事業者として方針に沿っていきたいと考えています。
質疑応答:競合会社について
司会者:「物流センターへの御社のサービスの導入について、競合はどのような会社がありますか? また、御社の強みを教えてください」というご質問です。
大貫:競合について、物流システム、搬送システムのメンテナンスを行う会社は当社の他にもあり、そのような会社が該当すると思います。しかし当社は、空港で五十数年にわたってこのシステムを取り扱ってきたため、日本に展開している相当数の会社をカバーできる技術力を持っているが強みだと考えています。
あらゆる会社のシステムにも対応できることを強みに営業展開し、また、搬送システムを開発している会社ともコラボレーションしながら、物流センターの事業に進出していきます。
質疑応答:今後5年間の収益見通しについて
司会者:「今後5年間の収益見通しについて教えてください」というご質問です。
大貫:各年の具体的な内容については、別の機会にご説明させていただきますが、中期経営計画の4ヶ年の間に、コロナ禍前の150億円の収入規模に戻すこと、そして営業利益率10パーセントに戻すことを1つの目標としています。今年度の業績予想は売上高を109億円に修正しましたが、2023年度から2025年度の3ヶ年で、150億円まで持っていくと捉えていただければと思います。
質疑応答:商品販売事業における発注控えなどの原因について
司会者:「売上高は、動力供給事業およびエンジニアリング事業で概ね計画どおり推移しているものの、商品販売事業では発注控えや先送りの影響を受けていますとのことですが、原因を教えてください」というご質問です。
大貫:GSE等販売、フードカート販売のお客さまの事情にもよりますが、年度内に発注いただく予定で商談を進めていたものや予定を組んでいたものが、年度をまたぐカタチとなってしまったことに原因があると考えています。個別の会社名については、契約の話になりますので、控えさせていただきます。
質疑応答:カーボンニュートラルにおいての動力供給事業について
司会者:「政府は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを掲げていますが、カーボンニュートラルは、動力供給事業にとっては大きく伸ばせるチャンスなのでしょうか?」というご質問です。
大貫:政府の中で、GPUをしっかりと使い、APUをストップさせ、CO2を削減していこうという方針が示されていますので、我々としては、それをビジネスチャンスと捉えて拡大していこうと考えています。
事業を大きく伸ばせるかという点については、それぞれ規模のイメージは違うと思うのですが、主要な空港では既に事業展開しているというところも含み置きながら、今後の拡大計画を作成していきます。
質疑応答:空港事業以外で期待できそうな事業について
司会者:「空港事業以外で期待できそうな事業はどの事業と考えていますか?」というご質問です。
大貫:一番期待しているのは、空港外の物流センター内での搬送システムの設置・保守管理を行う事業だと考えています。
また、数字としては小さなものになりますが、介護福祉施設や学校、病院などが主たる取引先のフードカート販売では、高齢化社会や省力化が求められる中で、保冷化・再加熱対応のカートが便利に使用されています。このようなところも意識しながら、拡大していければと思います。
質疑応答:航空機事業で事業展開する空港の数について
司会者:「航空機事業で事業展開する空港を増やすことを考えていますか? それとも、採算が取れる空港に絞って事業を展開しているのでしょうか?」というご質問です。
大貫:当社の拡大余地がある残りの90空港については、当然ながら事業展開していくことを考えています。あるいは、事業所を構えて事業展開しなくても、当社が保有、または開発している車両を活用していただくこともあり得ます。その場合、セグメントはGSE等販売の売上になるかもしれませんが、そのようなことも絡めながら、11個目以降の空港についても狙っていきます。
質疑応答:国内の物流関連事業について
司会者:「物流関連事業を伸ばそうとしているように見受けられます。EC分野はコロナ禍で急激に拡大したと思いますが、米国ではAmazonを含めネット通販会社が大規模な人員削減をしています。国内はこのまま成長できる分野だと考えているのか、ご見解を教えてください」というご質問です。
大貫:米国でご指摘のような状況が起きているのかと思いますが、日本において、eコマース自体がどの程度進展していくかということを語る立場にはないと思っています。
一方で、建設中、あるいは今後建設が予定されている物流センターに対して技術者支援の要請は非常に大きく、すべてお応えできていないような事業環境となっています。
当面はこのような環境が続いていくと考えていますので、当社としては積極的に応需していきたいと捉えています。
質疑応答:従業員の賃金を上げた場合について
司会者:「従業員の賃金を上げた場合、業績への影響はどのくらいになるのでしょうか? 例えば、賃金を1パーセント上げると、営業利益は何パーセント減るのでしょうか?」というご質問です。
大貫:具体的な数字は現在持ち合わせていませんが、大企業、あるいは従業員の中で、賃上げが大きなテーマになっていることは深く認識しています。来年度の計画策定の中で、賃上げについても検討した上で、次回以降の年度計画、あるいは収支の見通しをご説明する中で触れていきたいと思っています。
質疑応答:海外への電力事業展開の状況について
司会者:「海外への電力事業展開の状況はいかがですか? 四半期前から何か進捗がありましたら教えてください」というご質問です。
大貫:電力事業展開については、動力供給事業を海外に輸出する話をこれまでお話ししていますので、その話の進捗という意味合いでご説明したいと思います。当社は、タイに現地法人を既に有しています。具体的には、タイの開発中の空港案件に対して、我々が有している、世界にあまり例がない地下埋設型の動力供給装置の有益性やビジネススキーム等をご説明しながらコミュニケーションを深めている段階です。
また、前四半期以降の進捗としては、秋から冬、年末にかけて、頻繁に関係先と会議・コミュニケーションをするケースが増えています。
質疑応答:特許出願について
司会者:「開発と技術において特許を出願して権利化はされているのでしょうか? それが他社の参入障壁になったり、他社特許が事業展開の障害になったりしていますか?」というご質問です。
大貫:開発と技術ということですが、特許出願して権利化しているケースはありません。一方で、他社の参入障壁については、国内における旅客搭乗橋付きの大空港のメインのスポットには、すべて我々の地下埋設型動力供給装置を装備しており、当社が資本を投下して工事をし、地下に埋設管を設置しています。これを資産として有していることが、他社の参入を難しくしている要因だと思っています。
細かい話になりますが、大空港において旅客搭乗橋付きのメインのスポット以外でも、車両を持ち込めば、事業を展開できますので、国内の11個目以降の空港でもチャンスがあります。
一方で、残り90空港について、空港はすでに運用中ですので、今使っている駐機場の地下を掘り返して工事をするということは、そこを閉鎖することになるため、事実上かなり難しいことだと思います。
そのような意味で、特許ではありませんが地下の埋設施設を当社が保有しているということが、参入障壁になると考えています。その逆はあるのかというご質問については、そのようなものは認められません。
質疑応答:プライム市場への移行について
司会者:「長期的に、プライム市場への移行は考えていないのでしょうか?」というご質問です。
大貫:経営していると、より高きエリアへということも当然考えなくはないのですが、まずはスタンダード市場において、しっかり当社の立ち位置を作って、地方を固めていくところに集中していきたいと考えています。
質疑応答:想定より下回ったコストと電気料金について
司会者:「今回、上方修正となった要因として各種コストが想定より下回ったとありましたが、具体的にはどのようなコストでしょうか? また、電気料金は想定計画より上がったと理解していますが、正しいでしょうか?」というご質問です。
大貫:コストの削減・低減について、計画時には派遣社員の活用を考えていたため、その分の一定程度のコストを見込んでいました。しかし業務の棚卸しを行い、期中にBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)等をからめながら人員配置の適正化を進めたことにより、人件費のコストが大きく下回ったことが一番大きな要因です。
その他にも経常経費、あるいは販売管理費も計画を下回るかたちでコントロールできたため、営業利益の改善につながりました。
また、電気料金は第3四半期の時点で計画から3,500万円の超過となっています。第1四半期は、比較的電力料の値上がりの影響を受けておらず、電気の使用量も計画より少なく、電力量全体が計画値を下回っていました。第2四半期も使用量は少々下回りましたが、この頃から電力量が上がりはじめ、第2四半期にはほとんど差がなくなりました。
第3四半期は航空需要も回復し、電気の使用量が増えるとともに単価も大きく上昇したため、四半期で計画値を5,000万円くらい超過しています。第3四半期までで3,500万円くらいの超過が実態です。
質疑応答:増便などの動きについて
司会者:「外国人の入国は増えていると思いますが、来期に向けた増便などの動きの方向性はいかがでしょうか?」というご質問です。
大貫:足元の国際線の復便状況ですが、各社の発表を総合すると、2019年比で40パーセントから50パーセントくらい復便すると認識しています。2022年秋以降、政府の水際対策が段階的に緩和され、徐々に便数が増えてきました。
昨今、中国政府が日本人の入国ビザの発給を停止した、あるいはそれを再開したというニュースがありましたが、中国線がこの後どのように戻っていくかが、1つの鍵になると思います。いずれにしても、来年度に向けて徐々に運航便数が回復していくと想定しています。
質疑応答:電力価格の値上げによる価格転嫁について
司会者:「各電力会社は、4月から6月にかけて一斉値上げを行いますが、その分は価格転嫁できるのでしょうか?」というご質問です。
大貫:当社の動力供給事業の収益を圧迫しているのは事実ですので、新年度以降は電力価格の上昇分を価格に転嫁するべく、交渉を行っています。利益を圧迫するため、価格転嫁を実現させ、収益を下支えしていきたいと考えています。
質疑応答:自己株式について
司会者:「自己株式取得のうち、今回の消却以外の残りの半分は、すべて株式給付信託(J-ESOP)に活用する計画でしょうか?」というご質問です。
大貫:2022年12月22日の開示で、概ね半分を消却し、半分はJ-ESOPでの活用と示唆をしていますが、今回半分の消却を決定し、発表しました。残りの半分はJ-ESOPで活用する方向ですが、その他の資本政策全体を考えながら、今後、鋭意検討していきたいと考えています。
質疑応答:流通株式について
司会者:「1月31日時点の流通株式はどのくらいでしょうか? 主要株主3社が8割を占めており、流通株式が少ない点が気になります」というご質問です。
大貫:1月31日現在というご質問ですが、当社は四半期ごとに数字をまとめているため、12月末時点の数字でご容赦ください。
2022年12月時点での流通株式比率は18.45パーセントです。2022年9月の時点で17.73パーセントですので、一定の改善を示していますが、2023年1月27日に開示した44万株の消却を行うと、19.05パーセント程度になると見込んでいます。
主要株主3社で8割とのことですが、2022年12月末の状況は、日本航空が29.97パーセント、日本空港ビルデングが24.73パーセント、ANAホールディングスが18.44パーセントと、合計73.15パーセントまで低下してきています。
質疑応答:動力供給事業と施設保守事業について
司会者:「動力供給事業について、国内線と国際線では、売上高・営業利益・営業利益率の数字に差はありますか? また、単価交渉の進捗を教えてください。さらに施設保守事業について、空港内外の商業施設における別件工事の減少は一過性でしょうか?」というご質問です。
竹山哲也氏(以下、竹山):動力供給事業については、国際線・国内線ともに同じ価格帯を使用しています。そのため、売上は国内線と国際線に差はありません。営業利益・営業利益率についても、同一価格のため、利益に変動はありません。
単価交渉の進捗ですが、昨今、一般の家庭でも春以降に価格が上昇すると報道されていますが、我々も非常に大きなインパクトがあると見込んでいます。価格転嫁については、来期の4月から6月の第1四半期までをめどに進めたいと考えています。
当然、交渉があるため確約はできませんが、価格のインパクトを考慮しながら、早い時期に達成したいと考えています。
施設保守事業については、一時的に別件業務は減少しています。ただし、設備は老朽化していくものですので、今、延期しているものについては、来年度以降に別件工事として受注するため、減少は一過性のものと考えています。
質疑応答:空港内車両の電動化について
司会者:「空港のエアライン動力をGPUへと切り替える以外に、空港内車両の電動化の動きはいつ頃から始まると見ていますか?」というご質問です。
大貫:昨年、航空法、あるいは空港法が改正になり、航空や空港において、カーボンニュートラルの高みを目指してCO2排出量削減を行っていくことが、法律の中にも明記されました。国全体の目標と同様に、空港セグメントについても、2030年時点で2013年の46パーセントという排出量に向かって進んでいくマイルストーンだと理解しています。
その大きな流れに基づいて、中期経営計画で掲げた重点施策の1つとして、空港車両のEV化事業の創出を目指しています。空港におけるインフラの事業者として地歩を固めてきたことが1つの力となり、事業化のチャンスがあると考えています。足元では高松や羽田の空港で実証実験を進め、少しずつ進捗しています。
空港のCO2削減に関しては、GPUの利用と同様に、空港車両のEV化という大きなテーマに向かってすでに動き出しています。日本には万の単位で空港車両があるため、それを一つひとつEVに替えていくのは一定の時間がかかりますが、すでに動き始めている案件だと理解いただければと思います。
質疑応答:地方展開について
司会者:「地方展開の進捗や状況について教えてください」というご質問です。
竹山:地方空港の展開についてご説明します。すでにリリースしていますが、地方空港に展開するべく、バッテリー駆動式GPUの開発を進めています。
また、当社が40パーセント出資しているSASJ社は、電源車と空調車が一体になった機材を所有しています。こちらを活用し、地方空港への展開を検討している最中です。
質疑応答:海外展開について
司会者:「海外展開についても進捗や状況を教えてください」というご質問です。
辻佳子氏(以下、辻):エージーピーの子会社であるAGPタイランドの設立目的にもありますが、1つは日本国内の空港人材不足の解決、さらにASEANの中で最大級の空港拡張計画を国家政策として推進しているタイで、インフラ分野への参画を狙っています。
人材不足については、すでにエージーピー本社とAGPタイランドで連携し、日本国内における業務改善および人員の適正化などのBPRを行い、9名のタイスタッフが成田空港と関西空港で従事しています。さらに20名ほど採用しており、その中の何名かは、この先日本の空港支援をしていくメンバーになる予定です。
インフラ分野への参画については、新型コロナウイルス感染症拡大によりタイ政府のマスタープラン自体が鈍化し、推進するPPP(官民連携)の空港運営会社である民間企業も新型コロナウイルス感染症の影響で大幅にスケジュールを遅延してしまい、当社のアプローチ自体も遅れていました。しかし、2022年に両政府の水際緩和の影響を受け、全体の動きを再開し、我々もタイの企業と折衝を開始しています。
エージーピーは大きな会社ではありません。しかしながら、日本独自の空港インフラの技術を具備しているため、受注獲得に向けてこれからも技術に誇りを持ち、少数精鋭でアプローチをしていきます。
質疑応答:第2株主の日本空港ビルデングについて
司会者:「日本空港ビルデングが第2株主ですが、シナジー効果はありますか? また、今後どのような連携を見込まれていますか?」というご質問です。
辻:航空局が主催する羽田空港のCO2削減への取り組みワーキンググループに、日本空港ビルデングも当社も参加しています。
今期から、供給に向けての協議を進めていますが、2022年11月11日に日本空港ビルデングとともに、共同リリースを発表しています。東京国際空港、いわゆる羽田空港において、空港車両のEV化の検証を開始しています。引き続きプロジェクト期間中ですが、一定の成果が出たらみなさまにお示しできると思っています。
質疑応答:物流の施工・保守・メンテナンス事業の顧客獲得について
司会者:「空港外の物流の施工・保守・メンテナンス事業の顧客獲得は、どのように行われているのでしょうか?」というご質問です。
竹山:物流ECサイトの市場は、みなさまがご存じのとおり拡大しています。我々は空港でバゲージハンドリングシステムの運用・保守を行っているため、この培ってきたノウハウを、物流保守業界で活用できると見込んでいます。
また、昨今では人材不足により、倉庫内の人材が不足していますが、システム化とともに省人化も進んでいます。このようなところに我々のビジネスチャンスがあるため、今期より積極的に業務を拡大しています。
2022年度の見通しは、約7億円程度の売上を見込んでいます。中期経営計画の最終年度である2025年には18億円の大幅な売上増大を目指していますので、2022年度も着実に事業の拡大が進んできています。
大貫氏からのご挨拶
大貫:本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。決算の状況、あるいはそれを踏まえた配当等についてご理解いただけましたでしょうか? 当社は今後とも企業価値を高め、投資家のみなさまからの信頼、ご期待に応えることができるように、経営の改善に努めていきたいと思っています。どうか引き続き、エージーピーをよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。