12月のバイト時給、コロナ前の人材需要戻る リクルートは過去最高を更新

2023年1月19日 08:26

 求人サイトを運営する各社が2022年12月度のパート・アルバイト時給動向を発表し、一部で時給が大幅に下がる業種があったものの、サービス業や介護業界などを中心に旺盛な人材需要が続いていることが分かった。

【こちらも】10月のバイト時給、求人各社とも前年上回る 年末年始にかけ一層の求人需要も

■アイデムは東日本が前年上回る

 13日、アイデムが12月の「パート・アルバイトの募集時平均時給」を発表した。東日本エリアの平均時給は、前年同月比11円増の1,226円となり、2カ月連続で前年を上回った。このうち関東4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の平均時給は同6円増の1,248円。

 大分類の職種では専門・技術職のみ前年を下回り、同105円減の1,516円と大幅なマイナスだった。プラスの職種では事務職(12月の時給:1,141円、前年同期比:61円増)、飲食サービス職(1,071円、46円増)で上げ幅が大きめだった。

 西日本エリアの平均時給は同18円減の1,245円、関西3府県(大阪、兵庫、京都)の平均時給は同8円減の1,262円となり、ともに2カ月ぶりに前年を下回った。大分類は東日本同様に専門・技術職のみ同161円減の1,536円と大幅なマイナスとなった。プラスだった職種では、販売・接客サービス職(1,020円、36円増)、事務職(1,073円、51円増)、清掃・メンテナンス職(1,033円、32円増)で大きく伸びている。

■マイナビは4カ月連続で前年上回る

 18日、マイナビが12月の「アルバイト・パートの平均時給レポート」を発表した。全国平均時給は前年同月比32円増の1,177円となり、4カ月連続で前年を上回った。

 職種別で時給が上がったのはカウンター業務が1,160円(前年同月比:105円増、以下同じ)、ホテル・ブライダル・トラベルが1,139円(92円増)。家庭教師が1,813円(294円増)、アパレル・ファッション関連の商品管理が1,083円(103円増)、販売が1,095円(119円増)。DTP・CADオペレーターが1,265円(129円増)、編集・制作・校正が1,273円(81円増)。その他イベント・キャンペーンが1,239円(101円増)、ファーストフード・デリが1,077円(89円増)。レジャー・アミューズメントのインストラクターが1,247円(136円増)。搬入・搬出・会場設営が1,825円(553円増)、構内作業・フォークリフト・溶接が1,456円(216円増)、食品製造・加工が1,121円(115円増)、製造・ラインが1,376円(128円増)。その他配送・引越・ドライバーが1,252円(227円増)、新聞配達・ポスティングが1,226円(109円増)など。

 反対に時給が下がったのは、携帯販売が1,436円(50円減)、営業が1,324円(54円減)、SE・プログラマーが1,495円(221円減)、その他クリエイティブ・編集が1,194円(155円減)、医療専門職が1,350円(165円減)、看護師・准看護師が1,585円(81円減)、その他オフィスワークが1,135円(316円減)、テレフォンアポインター・テレマが1,391円(120円減)など。

 地域別では北海道・東北が前年同月比70円増の1,064円、関東が同21円増の1,253円、甲信越・北陸が同67円増の1,129円、東海が同41円増の1,128円、関西が同42円増の1,171円、中国・四国が同64円増の1,048円、九州・沖縄が同61円増の1,059円となり、3カ月連続で全ての地域が前年を上回っている。

■リクルートは過去最高時給を更新

 同日、リクルートのジョブズリサーチセンターが12月の「アルバイト・パート募集時平均時給調査」を発表した。3大都市圏(首都圏、東海、関西)の平均時給は、前年同月比37円増の1,158円となり、20カ月連続で前年を上回った。2022年10月の1,151円を超えて過去最高時給も更新している。採用意欲が新型コロナの感染拡大前の水準以上に戻っており、特に販売・サービス系や介護業界で人材需要が高まっているという。

 職種別で時給が上がったのは、レジャー施設業務全般が1,150円(前年同月比:54円増、以下同じ)、家事支援が1,149円(43円増)。調理・コック・板前(見習い含む)が1,092円(51円増)、ファーストフードが1,087円(77円増)、洗い場・パントリーが1,094円(45円増)。発送・仕分け・梱包が1,215円(56円増)、警備員・監視員・パーキングスタッフが1,143円(48円増)。電話応対が1,243円(62円増)、医療事務が1,107円(69円増)、看護師が1,891円(172円増)、介護スタッフが1,221円(56円増)、介護福祉士が1,411円(125円増)、塾講師が1,596円(150円増)、家庭教師が1,487円(101円増)など。

 反対に時給が下がったのは販売・サービス系のアパレル販売が1,067円(82円減)、製造・生産(重工業除く)が1,207円(66円減)、コールセンタースタッフが1,409円(67円減)、営業が1,334円(108円減)、スポーツインストラクターが1,082円(29円減)、プログラマー・エンジニアが1,192円(49円減)など。

 地域別では首都圏が前年同月比27円増の1,196円、東海が同42円増の1,075円、関西が同34円増の1,126円。3地域ともに前年を上回る状況が続いているのに加え、全体同様に3地域とも過去最高時給を更新した。

■ディップは24カ月連続で前年上回る

 同日、ディップが12月の「アルバイト平均時給調査」を発表。全国の平均時給は前年同月比10円増の1,220円となり、24カ月連続で前年を上回った。またアルバイト・パートの求人件数は同0.5%増の約25万5,000件だった。

 職種別で時給が上がったのは、営業・企画営業が1,401円(前年同月比:141円増、以下同じ)、テレアポ・テレオペが1,381円(241円増)、オフィスその他が1,235円(190円増)、事務・データ入力が1,329円(131円増)。SE・PG・エンジニア・運用が1,516円(162円増)、専門職その他が1,545円(465円増)、調査業務が1,426円(465円増)。モデル・エキストラ・芸能関連が1,649円(117円増)、パチスロが1,421円(79円増)。教育・保育が1,181円(102円増)など。

 反対に時給が下がったのは、Webデザイン・CAD・DTPが1,100円(115円減)、編集・制作・撮影が1,012円(117円減)、薬剤師・登録販売者・薬局が1,168円(186円減)、イベント関連が1,405円(220円減)、旅行が1,285円(186円減)、建築系が1,369円(352円減)、建築・土木その他が1,231円(240円減)。塾講師・家庭教師が1,774円(72円減)、教師・講師・インストラクターが1,732円(83円減)、試験監督・添削が1,468円(194円減)など。

 地域別では関東が前年同月比14円増の1,262円、東海が同39円増の1,202円。一方、関西が同13円減の1,209円、九州が同22円減の1,146円となり、東日本と西日本で明暗が分かれた。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連記事

最新記事