阪神・淡路大震災から28年 いまだに残る大きな傷跡と、未来への備え
2023年1月15日 16:56
1月17日は日本人、とくに関西圏で生活する人にとっては忘れることのできない、そして決して忘れてはならない日だ。28年前の1995年1月17日午前5時46分。兵庫県の淡路島北部沖の明石海峡を震源とするマグニチュード7.3の大地震が発生し、犠牲者6434人、家屋全壊半壊合わせて249180棟という甚大な被害をもたらした。そんな阪神・淡路大震災から28年たった今も、被災地域の人々の心の中には悲惨な記憶が生々しく残っており、当時の状況や犠牲となった方々を思い出して涙を流す人も多い。
阪神淡路大震災以降も2011年に発生した東日本大震災、2016年の熊本地震など、日本各地で大きな地震が頻繁に発生している。また、今後30年以内に高い確率で発生すると予測されている、マグニチュード8~9クラスという、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震への不安も拭えない状況だ。
もしも、南海トラフ巨大地震が起こってしまったら、静岡、愛知、三重の東海地方をはじめ、全国で大きな被害が出ることは避けられない。津波による被害だけでなく、揺れの被害も甚大で、建物の倒壊などによって多く負傷者や死者が出ることが懸念されている。しかも、これだけ大規模の地震が発生すれば、大小の差こそあれ、残念ながら日本のどこに住んでいても被害は免れないだろう。
自分や家族、職場の安全を守るためには、地震が発生してしまってからでは遅い。「今後30年以内」というのは、「30年後」という意味ではない。「今日」や「明日」も含まれているのだ。もしもの時に備え、避難グッズなどの準備はもちろん、ハザードマップなども確認しておくようにしたい。今はインターネットでも、国土交通省が運営するポータルサイトを訪れれば、各自治体などの公式サイトのジャンプでき、簡単にハザードマップを確認することができるので、ぜひ利用してみてほしい。
また、自宅の中で被災した場合、どこにいれば最も安全なのかも知っておきたいものだ。地震の時に安全な場所は、まず、落下や転倒してくるような家具などが少ないところだ。また、割れて飛び散るリスクがあるため、窓の多い部屋や窓の傍はできるだけ避けたい。昔はトイレの中が一番安全な所とも言われてきたけれど、閉じ込められるリスクもあるため、あまりお勧めはできない。
築年数の経つ家は、耐震性能の見直しもしておくべきだろう。2000年以降に建てられた住宅の耐震基準は、阪神・淡路大震災の被害を踏まえて見直されているが、それ以前の住宅は、現在の基準の半分程度の耐震性しか無い可能性もあるので要注意だ。
自宅のリフォームや新築を行う際には、各ハウスメーカーの耐震実験などの、最新の結果や実績などもしっかりとチェックするようにしておきたい。例えば、木造住宅では昨年、アキュラホームグループが世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実物大耐震実験を実施し、国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得しており、それを上回る震度7クラスの地震を想定した耐震実験も実施している。一般的な住宅で「5階建て」は必要ないかもしれないが、最新の技術力をもってすれば、木造ビルでも十分な耐震性能を持たすことができている。新築やリフォームの際には、デザインや設備ばかりを重視するのではなく、そういうしっかりとした技術力のあるメーカーや工務店などに依頼するようにしたいものだ。
阪神・淡路大震災から28年。被災した人々の心の中には未だ、大きな傷跡が残っている。二度とそんな悲しみを繰り返さないよう、いつも万全の備えを怠らないようにしてほしい。(編集担当:今井慎太郎)