車種選択にあたって検討する内容 その2

2022年12月28日 11:15

 前回は経営者の資質に触れたが、「車好き」にとっては、そのメーカーの経営者の資質なんぞは、突然方針の大転換とかでも無い限り、大して関係無いだろう。

【前回は】車種選択にあたって検討する内容 その1

●予備選択: マインドシェア

 マインド・シェア(share of mind)とは、消費者の心(マインド)に占める企業ブランドや商品ブランドの占有率(シェア)のことをいう。

 車の場合、メーカーに対する好き嫌い、その車種のデザインやメカニズムに対する個人的な評価、担当営業マンに対する印象等により、自分の中で「どの車にしようかと、“予備選択”する」のだ。

 そして購入対象候補とした、何種類かの車に対して総合的に評価を下し、最終的に購入する車が決まる。

 本田宗一郎氏に心酔し、ホンダ車一択の人もいる。

 旧プリンス自動車工業時代からスカイライン開発に携わり、プリンスと日産の合併後、2代目スカイラインの途中から7代目まで開発責任者を務めた桜井眞一郎氏に惚れ込んで、ずっとスカイラインを乗り継いだ人もいる。

 しかし、そのまますんなり、自分の好む車種の購入に至らない場面も少なくは無い。

 勤務先の取引や資本系列の関係で、思うメーカー系列以外の車種にしなければ、社宅住まいだったりすると、肩身が狭かったりする場合もある。

 独身寮なら、車庫証明を受理して貰えなければ、近隣の一般月極駐車場を借りなければならなかったりする。

●素人にとっての良いクルマ

 「素人にとっての良いクルマ」(2020年5月26日付)で触れたが、全くの素人が車を選ぶのは「人を好きになる」のと同じ様なものだ。

 昔の車、特に「外車」の場合は、クセの強い車が多かった。

 昔の車は「電子制御燃料噴射」とかでは無くて、「気化器(キャブレター)仕様」で、それも高性能車種の場合は2連装、3連装と気難しい癖の強い車が少なく無い。

 そこで冬場の始動に、手こずるケースも少なく無かった。

 それでも、「これも外車を所有する醍醐味だ」とか、負け惜しみともとられかねない、変に粋がる風潮もあった。

 外国製スポーツカーで、始動に失敗したら「腕が悪い」、「お前にはこの車は無理だ」とか言われるのに、国産車で失敗したら「始動性の悪いこんな車が悪い」と国産車が貶されるのも珍しく無かった時代の話だ。

 知人はヨーロッパの某メーカーの車で、「新車で買っても、まともに乗れるのは1年の内せいぜい4~5カ月で、後は整備入庫ばかりだ」と、“自慢げに”話す場面にも遭遇したことがある。

 これは、彼氏を両親に紹介する場面で、娘さんが「○○だけど優しい人なの」とか、欠点には目を瞑って“彼氏の良い所だけを採り上げて”、弁護するケースに似ている。

 ○○部分に入るのは、“酒飲みだけど”だったり、“ギャンブル好きだけど”だったり、“短気で移り気だけど”だったり。要するに、こんな欠点があるけれど、それを克服するだけの優れた点があると。

 「しょっちゅう故障して、修理入庫ばかりするが、調子が良い時の峠道のドライブは最高だ!」と言っている場面がこれだ。惚れてしまえば「痘痕も靨(あばたもえくぼ)」なのだ。

 しかし、失敗したく無ければ、車に詳しい友人や先輩の意見も参考にして、慎重に車種選定すると良いだろう。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

関連記事

最新記事