日銀政策変更ショックで、今後のマーケットは!?
2022年12月22日 18:03
●日銀が金利変動許容幅を拡大
日本銀行は20日、金融政策決定会合の結果、プラスマイナス0.25%だった長期金利(10年国債)の変動許容幅を、0.5%へと拡大することを公表した。
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マーケットでは事実上の利上げと受け止められており、2016年から続くマイナス金利政策の変更と捉え、日経平均株価は一時800円超下落。1ドル137円台だったドル円も、130円台半ばまで急騰する場面があった。
日銀の黒田東彦総裁は、「市場機能を改善するためで、利上げではない」と火消しに回ったが、今まで金融政策の変更を否定し続けていただけに、大きなサプライズとなった。
各国が緩和から引き締めに変更する中、日銀も足並みを揃えざるを得ないのか?乗り遅れた形の日銀は今後も利上げせざるを得ず、アベクロ相場から続いた株高も終焉を迎えるのだろうか?
●注目される次期日銀総裁人事
故・安倍元首相と、2013年から日銀総裁を務める黒田氏による大胆な金融緩和政策により、2012年には1万円切っていた株価を、一時は3万円を超えるまでに押し上げたアベクロ相場。
その旗振り役だった黒田氏は、2013年から現在まで歴代最長の在任を記録しているが、2023年4月8日に任期満了となる。金融政策の変更を否定していた黒田総裁だが、後任の日銀総裁では緩和を終了し、利上げも噂されていた。
一方で黒田氏の任期中は、政策変更が無いと見る向きが大勢だった。後任の総裁で大きく政策変更されるかが注目される。
●日本も利上げへ?
19日、短期を除く国債の発行残高について、日銀の保有率が初めて5割を超えているが明らかとなった。財政ファイナンスとの批判もある。
日本の場合、利払いやバランスシートの面を考慮すれば、米国などのように利上げを続けられないだろう。かと言って円安は無視できず、難しいかじ取りを迫られる。
今回の実質利上げはインパクトが強く、為替相場も株価も大きく動いた。
2023年は世界的にインフレがピークを迎え、金利上昇も和らぐとの見方が一般的だが、景気の悪化は避けられない。日本の貿易赤字体質が変わるわけではなく、円安傾向は続くと考えられる。
しばらくは2022年同様に円安企業が恩恵を受ける傾向にあるだろうが、マーケット全体の好材料は多くはなさそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)