日産、車体構造にCO2排出量を削減する低炭素材採用 神戸製鋼が供給

2022年12月22日 09:43

 日産自動車は国内生産の新型車に、神戸製鋼が開発した低炭素鋼材「Kobenable Steel」とグリーンアルミニウム原料を用いたアルミ板材を、日産車へ採用すると発表した。クルマの部品を製造における二酸化炭素(CO2)排出量を削減するのが狙いだ。

 なお、「Kobenable Steel」を量産車に適用するのは、国内の自動車メーカーでは日産が初めてだ。今後、海外生産車への導入にも取り組む計画だという。

 日産は2050年までに、クルマのライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現することを目指す。車両重量の約60%は鉄部品、約10%はアルミ部品によって構成されていることから、グリーンスチールやグリーンアルミニウムの採用は、ライフサイクルの一部である部品製造時のCO2排出量を削減していくうえで、大変有効な取り組みだとする。

 そこで、従来製品と同等の高品質でありながら、製造時のCO2排出量を大幅に削減することを可能とした神戸製鋼の低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」と、グリーンアルミニウム原料を用いたアルミ板材を日産製のクルマ製造材に採用することを決定した。

 低炭素鋼材は日産が2023年春に発売予定のミニバン、シリーズ型ハイブリッドモデルの新型「セレナe-POWER」車から採用し、順次採用車種を増やす計画だ。適用部位は車両のプラットフォームとなるボディ&シャシーの骨格部分だ。なお、セレナのガソリン車は12月21日から販売している。

 低炭素グリーンアルミ合金板材は、日産の電気自動車「アリア」や中型SUVの新型「エクストレイル」から採用する。採用時期は2023年春以降で、適用部位はフロントフードやドア外板などだ。

 低炭素鋼材と低炭素アルミニウム合金板材の採用でコストアップについて説明はなかったが、通常の鋼材やアルミ合金板材よりも高くなるのは確実だ。コストは増えるが、部品の製造工程におけるCO2削減を重視して採用を決めた。

 神戸製鋼はHBI(熱間成形還元鉄)を神戸製鋼の加古川製鉄所の高炉に投入し、製銑工程におけるCO2排出量を減らす。さらに、「マスバランス方式」を適用することで、英国の第三者機関から「CO2排出量100%削減」の認定を受けている。

 一方、低炭素アルミ合金板材は、原料鉱石のボーキサイトからAl地金をつくる「電解精錬工程」に太陽光発電電力を使用する。これにより、アルミ地金製造時のCO2排出量を従来比で約50%削減している。

 太陽光発電による地金の生産は、アラブ首長国連邦(UAE)のEmirates Global Aluminium(EGA)が担当し、同社が生産した地金を伊藤忠商事が輸入、神戸製鋼に供給する。神戸製鋼は栃木県真岡製造所でアルミ合金板材を生産する。(編集担当:吉田恒)

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