不動産金融・ホテル運営:ウェルス・マネジメント、収益急回復の理由
2022年12月14日 08:47
ウェルス・マネジメント(東証スタンダード)。不動産金融事業とホテル運営事業が経営の両輪。三菱地所投資顧問の設立メンバーで取締役を経た、現社長の千野和俊氏により2006年に起業された。当初はリーマン・ブラザーズのファンドを運用。転換期は13年のリシェス・マネジメント(当時:東証2部)の買収、子会社化。2015年に現在の事業体制に組織再編。
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2016年に初の中計「3年間でホテル開発・資金調達・運営までを一気通貫で提供」を発表。約1000億円のホテルポートフォリオを構築。19年に「J-REIT創設により資産循環型ビジネスモデルの展開」「東証1部上場に向けた基盤づくり」の中計を発表。
だが計画2年目にコロナ禍パンデミック発生。見直しを余儀なくされた。そうした状況下で「長期的な事業パートナーとして」(千野氏)、サムティ社(東証グロース、総合不動産業)と資本業務提携。至2024年の中計では、「サムティ社と共同でJREIT実現(受託資産5000億円規模のホテルRIET)」「プライム市場上場具体策とし時価総額3倍増」を掲げている。
さてそんなウェルス・マネジメントの現状だが、ホテル事業を有するだけに気になる。
前3月期の「446.7%増収、56億7600万円の営業黒字、10円増配30円配」に続き今3月期は、48.3%減収(150億円)も「14.5%営業増益(65億円)」計画。2期連続増益の回復基調。前期決算の内情を覗いてみた。
『不動産金融事業』: 建設コスト増加懸念も、ポストコロナを見据えたホテル開発には金融機関の融資姿勢も増加傾向。「京都東山SIX SENSESホテル開発プロジェクト」の不動産信託受益権譲渡益(資産を信託銀行などに信託し、資産から発生する賃料収入等を受ける権利の譲渡に伴う利益)「芦ノ湖畔ホテル開発事業」の不動産信託受益権譲渡益を実現。
『ホテル運営事業』: 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置等の影響はあった(一部ホテルの臨時休業)が、国内2件目・関西初のマリオネットインターナショナル社の「アロフト」ブランドホテル:アロフト大阪堂島を開業。「京都悠洛ホテルMギャラリー」「京都悠洛ホテル二条城別邸Mギャラリー」のリブランド。「ダーワ・悠洛京都」「ギャリア・二条城京都」を開業。ブランドホテルの開設・開業の手は緩めなかった。
収益急回復の主力は不動産金融事業(500.6%増収、283.3%営業増益)だが、今後を見通す上でホテル運営事業が「5億8500万円余の営業損失から、6億3496億円の黒字計上」に転じている点は興味深い。(記事:千葉明・記事一覧を見る)