外国語漬け学習法とは? 外国語力を短期間で飛躍的にアップ!
2022年11月30日 10:47
外資系企業に転職したい、海外駐在が決まった、シンポジウムで英語によるスピーチをしなければならないなど、人生で大きな岐路に立った時、外国語がネックになって羽ばたけないのではもったいない。しかし、ピンチをモチベーションに極限までがんばることができれば、チャンスに変えることも可能だ。期日が明確に定まったゴールがあれば計画も立てやすく、挫折の危険性も最小化できる。
【こちらも】外国語のスピーキング力向上 独り言学習の具体的な進め方
今回は、比較的短期間で飛躍的に語学力を伸ばしたい人におすすめの「外国語漬け学習方」を紹介したい。短期目標が見つからず「いつかきっとがんばろう」と先延ばしにしてきた人にも、おすすめの方法を紹介するので試してみよう。
■外国語漬け学習法とは
外国語漬け学習法とは、朝起きてから夜寝るまで、すべての空き時間を外国語学習に費やす勉強法だ。いや、そればかりか、食事中でも、通勤電車の中でも、お昼休みやコーヒーブレイクの1分間をも余すことなく、外国語学習に捧げる必要がある。
できればパソコンやスマホの言語設定を英語にし、ニュースやドラマも外国語で聞き、日記やメモも英語で記す。このように朝から晩までどっぷりと外国語に漬かり、自分を極限まで追い詰めることで、短期間で脳内に当該言語の神経回路を形成する、これが外国語漬け学習方法だ。
■外国語学習法を成功させる3つのポイント
●1. モチベーション
外国語漬け学習方法は負担が大きいため、どんな人でも無理なく進められるとは言い難い。とは言っても莫大な費用や何年もの時間を費やす必要があるということではない。たった1つどうしても欠かせないのが、強靭な意志力とこれを支えるモチベーションだ。
外国語学習の成功の可否にモチベーションが大きく関わるということは、多くの多言語学習者や外国語教育者によっても証明されている。詳細は以下の記事を参考にしてほしい。
【参考記事】ネイティブ並みの外国語発音を習得!強い動機付けが臨界期の壁を超える
特に、仕事で外国語習得が必要という目的は最も強力なモチベーションになるので、ストレスを上手く活かしてがんばってほしい。
●2. 短期目標
「いつかきっと外国語を習得したい」、「外国語を使う任務が与えられれば、きっとがんばれるはず」と考えている人が意外と多い。しかし、「いつか」は永遠にこないし、外国語力が中途半場では外国語を使う任務も永遠に与えられない。
であれば、自分でその「いつか」を設定することが大切だ。短期目標におすすめなのがTOEICやHSK(漢語レベル試験)など、語学力を測る各種試験だ。昨今のパンデミックなどの影響もあり、オンラインで手軽に受験できるシステムもあるので活用したい。
【TOEIC】Listening & Reading Test
月に1度のペースで試験が実施されている。オンラインで1~2時間で受けられるコースもある。まずは1回受けてみて、自分の実力を知ろう。
【HSKネット試験】
HSKは中国語政府公認で、国内では最も受験されている中国語検定だ。毎月オンラインで試験が実施されているうえ、難易度の幅も広いので力試しに受けてみたい。
TECC(中国語コミュニケーション能力検定)は、日本人の中国語によるコミュニケーション能力を測定する資格検定だ。年に3回実施されている。
●3. 外国語神経回路が形成される過程
脳神経外科医の植村研一氏は、MRIを使った研究により、外国語を聞き取り理解するためには、大脳皮質のウエルニッケ感覚性言語野に当該言語の言語野を形成する必要があることを突き止めた。
ウエルニッケ感覚性言語野に英語野、中国語野、日本語野といった神経回路網から形成される言語の中枢を作ることによって、外国語を聞いて理解できるようになるのだ。
短期間に徹底してリスニングとリーディングの洪水を浴びる外国語学習方法は、脳科学的に見ても、外国語教育の実践から見ても、効果の高い学習方法だ。詳細は下記の記事で紹介している。
【参考記事】ネイティブ並みの発音を習得したい人必見!インプット洪水の重要性
【参考記事】脳科学が太鼓判!「多読多聴」から始める外国語学習法
読み書きに比べて「話す」、「聴く」が苦手と言う人は、ウエルニッケ感覚性言語野に言語の中枢が形成されていないことが原因だ。まずは、読み書きに力を入れ、言語の中枢を形成しよう。そのうえで「話す」、「聴く」学習に移行していくと効率よく学べる。脳に着々と言語の中枢が形成されている様子を想像してほしい。つらい英語漬け学習ががんばれる。
外国語習得のために最も有効なのは留学だ。ネイティブに囲まれ、さまざま異なるシチュエーションで使う外国語に一定期間さらされることで、脳に外国語の神経回路が形成される。
外国語漬け学習法とは、上記の通り、24時間外国語だけに囲まれる国内、或いは室内留学空間を自分の力で創造(想像)することだ。短期間で大きな負荷をかける作業のため、継続はかなり難しい。
この時重要になってくるキーワードが、今回解説したモチベーション、短期目標、外国語中枢形成だ。漠然と学ぶのではなく、常に意識して計画的に進めることがとても重要になる。次回は外国語漬け学習法の具体的な進め方について紹介したい。(記事:薄井由・記事一覧を見る)