NTTデータ、社員が自由企画のワーケーション導入 生産性20%向上

2022年11月20日 07:46

 NTTデータの100%子会社であるNTTデータ経営研究所(東京都千代田区)は18日、社員が自由に企画できるワーケーションを試験的に導入したところ、社員の生産性や心身の状態、組織へのエンゲージメントが向上することが分かったと発表した。参加者の生産性自己評価は期間中20%向上したと言う。

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 5月から11月にかけて、8グループ43名の社員が参加した。期間は最大1週間。滞在場所や形態を会社が指定するのではなく、社員が自由に企画して応募できるようにした。参加者は脳科学を中心に研究開発などを行う同社のユニットで、実証実験の被験者となった。

 実施されたワーケーションの形態は大きく分けて3つ。地域の関係者と交流し地域課題の解決を目指す「課題解決型ワーケーション」、参加者同士でワークショップなどを行う「合宿型ワーケーション」、観光や趣味を楽しみながら働く「休暇型ワーケーション」。

 課題解決型では、例えばデジタルツールを用いた観光体験などを通して、観光業のDXについてヒントを探った。合宿型では同時期入社の若手が互いに課題を共有し議論することで、コンサルタントとしての成長促進を目指すなどした。休暇型では、アート鑑賞を行い、観察力や分液力、言語化能力の向上につとめる事例などがあったと言う。

 ワーケーション期間中は、参加者の生産性の自己評価が20%向上。ワーケーション終了後1週間もその状態を維持した。「仕事への没頭」「仕事に対する活力」「仕事への熱意」からなるワークエンゲージメントも、期間中に向上。多くが事後にさらに高まることが分かった。

 組織コミットメントも上昇した。「ワーケーションを実施させてくれた会社に対する帰属意識」の高まりが現れたものと推測される。こうした結果を受けて、同社は自らが企画したワーケーションを仲間と体験することで、業務に好影響をもたらすと結論付けた。

 NTTデータ経営研究所は2017年からテレワーク制度を導入しており、コロナ禍をきっかけにさらに在宅勤務優先に踏み込んだ。だが、効率的に働けるという利点があるものの、社員間のコミュニケーション不足が新たな課題となっていた。社員満足度調査でも、「知の交流」「ビジョン共有」のポイントが低下。この状況を打破しようと、ワーケーションを取り入れ成果を出した。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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