東芝、100万人のレシートデータで買い物動向可視化 購入平均単価は上昇

2022年11月19日 11:05

 東芝データは19日、東芝グループの電子レシートサービス会員約100万人のデータを用いて、毎月の生活者の買い物動向を可視化していくと明らかにした。

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 今回の調査では、2022年に入り実施された値上げラッシュの影響が反映。買い物1回あたりの平均購入金額は、22年10月の対前年同月比較で92円増加。直近では、買い上げ点数に大きな差のない22年6月と10月の比較で51円増えており、購入平均単価が約2%増加しているという。

 購買データの統計には、グループ会社の東芝テックが開発した「スマートレシート」のデータを活用。スマートレシートは、電子レシートを専用のスマートフォンアプリで受け取れるサービスで、店舗で会計する際にアプリのバーコードを提示し読み取ってもらうと、アプリにレシートが表示される仕組みだ。使える店は、全国の小売・スーパーや薬局、飲食店など。関東では、キャンドゥや東急ストア、スギ薬局、くら寿司などが導入している。

 東芝テックは、POSシステムや店舗間で情報をつなぐクラウドシステムなど、流通小売業向けのソリューション提供に強みを持つ。東芝データは、そうしたグループ会社の取得データを活用したサービス・データ流通を担う会社として、2020年2月に設立された。

 現時点では、東芝テックの購買データによるサービスがメインだ。購買動向などの統計・分析を行い、商品開発やマーケティング・販促、店舗戦略などへ活用できるサービスとして提供している。

 スマートレシートとPOSシステムのデータを用いた統計サービスもすでに展開しており、リアルタイムの購買実績データをもとに、数時間で統計データを生成し提供している。毎月の動向発表を行う流れも、その辺りから派生したものと推察される。

 東芝は2022年6月、長期ビジョンとして「東芝グループ経営方針」を発表。30年に向け、収益の柱をデータサービスとする会社に変わると掲げている。POSやスマートレシート、エレベーター・照明などのビルシステムから「人のデータ」を、鉄道・道路などの交通システム、発電・送電システムなどから「産業のデータ」をそれぞれ収集し、データサービスを展開していくという。

 同社はまたその中で、スマートレシートの展開目標を設定。25年までに加盟店舗数13万店、会員数1,000万人を目指すとしている。それにより購買データの収集基盤を確立し、小売業などへデータ流通を行う方針だ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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