バフェット氏のTSMC投資、その目論見は?
2022年11月18日 19:16
●バフェット氏がTSMCに投資
米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが、台湾の半導体受託製造最大手のTSMC(台湾積体電路製造)に新規投資していることが分かった。
【こちらも】米中間選挙の結果は、マーケットにはマイナスか?
14日に開示された報告書によると、バフェット氏はTSMCの株式を41億ドル分(約5,700億円)購入したと、ロイター通信などが報じている。
コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻により、世界中で半導体不足が深刻になっており、終わりが見えない。
一方で、景気減速などによる設備投資や消費の減退により、半導体需要も減速するという見方もある。台湾有事も懸念される中、このタイミングでバフェット氏がTSMCに投資する意図は何だろうか?
●無視できない台湾有事
仮定の話ではあるが、中国が台湾に侵攻することもあり得ない話ではない。
TSMC会長の劉氏も「TSMCを武力でコントロールすることは誰にもできない」とけん制している。
もし有事が起きれば、さらなる半導体不足で世界中に混乱を招く。中国の企業も半導体をTSMCに依存しており、大きな打撃を受ける。
TSMCは生産能力に関して、日本の既存工場の拡大や米国、シンガポールでの工場建設も計画してはいるが、いまだ台湾での生産に集中している。
●バフェット氏の狙い
TSMCへの投資は、半導体需要の減退と台湾有事というリスクが付きまとう。もし、有事のリスクが高まれば、米国は中国への輸出規制を強めることも考えられる。
しかしこのタイミングでの投資は、バフェット氏にとって、勝算があるのだろう。
“ハイテク株嫌い”のイメージが強いバフェット氏だが、今やポートフォリオはアップル株が半数を占める。TSMCはアップルのチップサプライヤーでもある。
TSMCは年初来から一時半値以上も米国での株価が下がっていたが、キャッシュフローとバランスシートにバフェット氏が魅力を感じていたとも見られている。
TSMC製品なしでは成り立たないと感じているのではという、アナリストの見方もあり、バフェット氏特有の投資家の”勘”が働いたのだろうか。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)