コロナで重症化、「肥満」と「肥満症」は違う 医療が必要な慢性疾患「肥満症」とは?

2022年11月16日 08:36

 新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとして「肥満」が挙げられ注目を浴びた。肥満とはBMIが25以上で身体に脂肪が過剰に蓄積した状態を言うが、それだけでは医療の対象にはならない。BMI25以上で、かつ、2型糖尿病や脂質異常症など肥満に関連する健康障害を合併し、内臓脂肪の蓄積が見られる場合に「肥満症」と診断され減量治療の必要が生じる。肥満の原因には、遺伝的、社会的、環境的要因など様々な要因があり、決して個人だけの責任ではない。しかし、製薬企業の調査によれば、約半数の者が太っていることで他人からネガティブなことを言われた経験があると回答しており、肥満を自己責任と理解し医師に相談する者は少数となっている。「肥満」と「肥満症」の違いを知る者も3割未満となっており、これについて更なる啓蒙が必要なようだ。

 11月7日、製薬企業のノボノルディスクファーマが「『肥満』と『肥満症』に関する意識実態調査」(調査期間:9月下旬、調査対象:BMI25以上の20-75歳の日本人男女9400名)の結果レポートを公表している。これによれば、「今より痩せたい」と回答した者は95.4%、そのうち10kg以上痩せたい人が49.0と、BMI25以上の者が対象のため、ほとんどの者が痩せたいと思っているようだ。新型コロナ流行前と比較して体重が増えたと回答している者は37.5%で、やはりコロナ禍の自粛生活や運動不足で体重が増加した者も少なくないようだ。

 今までに何らかの「減量」に取り組んだことがある者は86.4%に達し、減量法は「間食を控える」、「食事制限」などであるが、「病院に行き、医師に相談する」という者は4.1%にとどまった。相談しない理由としては「『肥満』は自己責任だと思うから」が35.5%で最多となっている。太っていることで他人からネガティブなことを言われた経験を有する者は47.5%と約半数にのぼり、具体的には「運動不足」49.1%、「怠惰である」38.7%、「食生活や生活習慣が乱れている」32.9%などとなっている。「肥満」と「肥満症」が違うことを知っているか尋ねた結果では、「知っている」は28.7%にとどまった。

 肥満症と診断される健康障害のいくつかは健康診断でも知ることができる。ノボノルディスクファーマは「社会全体の肥満や肥満症に対するスティグマを減らすべく、肥満症が長期的な医学的管理を必要とする慢性疾患であるという正しい理解の浸透に向け、より一層尽力して行きたい」としている。(編集担当:久保田雄城)

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