米中間選挙の結果は、マーケットにはマイナスか?
2022年11月15日 16:43
●民主党が上院で半数獲得
8日に行われた米国の中間選挙は投開票の結果、与党・民主党が上院で半数の50議席を獲得することが確実となった。
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まだ1議席の結果は残っているが、仮に議席数が共和党と50議席ずつでも、民主党のハリス副大統領が議長を兼務しているため、事実上多数派となる。
当初、共和党の勝利が確実視されており、下院で勝利し、上院でも共和党が半数以上を獲得すると見られていた。
共和党の勝利によって、民主党が推し進める増税やインフレの原因となる大幅支出政策を阻止できるという期待感で、株価が買われていた。民主党の上院半数獲得を受けた14日の株式式市場では、NYダウは211ドル安、S&P500も0.9%安で引けた。
今回の中間選挙の結果は、マーケットにとってはマイナス要因なのか?
●選挙を巡る混乱は今回も
2020年の米国大統領選挙では、投開票を巡り混乱が起き、トランプ大統領(当時)の支持者が連邦議会に侵入するなどの事件も発生した。
トランプ氏が「不正の温床」と主張する郵便投票は2020年のコロナ禍で急増した。今回もトランプ氏は選挙詐欺と批判し、投開票機会が故障したことなども訴えている。
下院の結果はまだ確定しておらず、どちらが多数派になるかはまだ数日かかる見通しである。
一方、バイデン大統領は「結果には驚いていない。2年間が楽しみ」と冷静にコメントしている。米国内の保守とリベラルによる対立・分断がさらに深刻化することが懸念される。
●マーケットにはマイナス?
今回の選挙で米国民の関心事について実施されたあるアンケートでは、やはりインフレ・物価が1位で約25%を占めていた。
共和党はバイデン政権のインフレ策を批判しており、共和党のインフレ抑制への期待感は高い。
一方で、民主党は環境問題や気候変動に力を入れており、インフレ抑制法案も医療拡充や気候変動対応なども盛り込まれていた。バイデン大統領の支持率は過去最低に近い数字を記録するなど、評判は芳しくない。
共和党が上下院で過半数を獲れば、バイデン政権はレームダックとなり、それが結果的にインフレ抑制につながるとの期待感もあった。
下院の結果が確定するまではまだ時間がかかる。だが現時点では、中間選挙後の株価は上がりやすいというアノマリーと、10月のCPIの鈍化、失業率の上昇など、インフレ抑制には好材料もあり、悲観的な結果にはなるとは限らない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)