さらなる円買い介入に効果はあるのか?

2022年11月4日 19:52

●10月の為替介入は6兆円超

 財務省は10月31日、9月29日~10月27日までの1カ月間の為替介入が6兆3,499億円だったと発表した。

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 9月22日に24年ぶりの円買い介入を実施したが、その時は2兆8,332億円だったため、合計で9兆円超の介入となる。

 10月20日には32年ぶりに1ドル=150円を超えるなど、急速な円安が進んでいた。

 9月の介入により為替介入が意識され、しばらく145円を超えないだろうという予想もあったが、10月に入るとあっさり145円を超え、無駄玉という批判も出ていた。

 現在(11月4日)は150円を超えていないが、再び150円を超えることも十分あり得る。為替介入は無駄玉という批判は妥当なのだろうか。

●最近の日本政府の動き

 9月の介入では、146円後半になった時に、一気に141円まで上昇した。

 10月22日には、151円90銭まで下落した時に介入したとみられ、一気に144円まで上昇した。

 その後、岸田首相は為替介入についてはコメントしないとしており、鈴木財務相も9月22日以降の覆面介入について、10月22日の相場変動にも介入のコメントはしないとしている。

 さらなる物価高が懸念される中、政府としては円安が進むことは避けたいようだ。

●無駄玉で終わるだけなのか!?

 円安阻止という面では、時間稼ぎにしか過ぎず、米国はインフレが収まるまで利上げを続けるとしており、日米の金融政策の違いから介入効果には限界がある。

 だが為替介入自体、原資は税金ではあるが、新たに国債を発行して調達しているわけではない。原資は外国為替資金特別会計(外為特会)で、外貨準備高の大部分は外為特会で保有されている。

 日本の外貨準備高は先進国の中でも突出しており、原資に余裕はある。

 為替介入は過去には100円台で円売り介入したドルなども外貨準備高として残っており、今回の円買い介入は外貨投資で言えば、150円で利確したという見方もできる。

 円買い介入は市場から円を吸収し、政府の預金残高を増やすという効果もある。つまり金融引き締めと同じである。

 為替介入への警戒感が、心理面での円安への抑止力となるという見方もある。

 為替介入の効果は、単純に為替相場だけで判断できるものではない。今後は介入で得た円をどう生かすかの議論も必要かもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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