ホンダジェット、「Elite II」リリース ジェットエンジンもカーボンニュートラル目指す
2022年10月28日 08:17
Hondaの航空機事業子会社であるホンダ・エアクラフト・カンパニー(Honda Aircraft Company/HACI)は、米フロリダ州オーランドで開催される世界最大のビジネス航空ショー、ナショナルビジネス・アビエーション(NBAA 2022/10月18日~20日)において、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の最新型としてアップデートした「HondaJet Elite IIを発表した。
HondaJet Elite IIは、燃料タンクの拡張および最大離陸重量の増加により、航続距離を従前のHondaJet Eliteからプラス204kmの1547ノーティカルマイル(2865km)に延長し、より遠くへ移動することが可能になった。機体構造の改良については、グランドスポイラーを主翼に初搭載し、着陸時の機体操縦性・安定性を向上させた。
加えて、空の領域における新たな安全技術の取り組みとして、最新の自動化技術であるオートスロットル機能と緊急着陸装置を2023年末までに導入する。
HACIはこれまで複数回のアップデートにおいて最新の安全機能をアビオニクスシステムに搭載してきたが、このふたつの自動化技術のElite IIへの導入は、パイロットへの負荷を軽減するとともに、航空航路における機体運用の安全性をこれまで以上に向上させる。
Elite IIは機能美に着目し、究極のオーナーシップ体験と快適性を追求したモデルだ。外観デザインにおいては「Black Edition」(特別色)を新たに設定。内装にはモダンなグレーを基調にした「スチール」と暖かみのあるベージュを基調にした「オニキス」のふたつのデザインが加わった。また、機内通路の床材には従来のカーペットのほか、木目調のデザインを選択できる。さらに、機内壁の遮音材を刷新し機内に流れ込む風切り音を抑える設計とするなど、ノイズ低減の工夫を施したことでキャビン全体の静粛性を一層向上させた。
GE Hondaエアロエンジンズは、持続可能な航空燃料(SAF)を100%使用したHF120ターボファンエンジンの試験に成功した。SAFは航空領域でのCO2排出量を削減し、カーボンニュートラルを達成する手段のひとつとして注目されている。
SAFの利用は米国材料試験協会(ASTM)による認可制となっており、既存のジェット燃料へSAFを混合できる含有率の上限が定められている。現在の上限は50%だが、今回の試験により、今後の航空燃料の進化・普及を見据え、100%のSAFを使用できる可能性を確認することができた。
試験では、100% SAFをHF120で使用した場合のエンジン性能への影響を既存のジェット燃料と比較し評価した。SAFには、現在最も普及しているHEFA-SPKを使用し、地上でのエンジン試験を米国オハイオ州ピーブルズのゼネラル・エレクトリック社(GE)の設備にて数日間行なった。その結果、通常のジェット燃料を使用した場合と同等の性能が確認できたという。
GEとHondaは、SAFの安全性を評価し規格化の支援を行なう国際団体(FAA/OEM Review Panel)に加入しており、SAFの安全性と普及に向けて活動している。今後も両社で協力し、持続可能な社会に向けたCO2排出量の削減など技術を進化させ、業界をリードしていくとしている。(編集担当:吉田恒)