建設現場で使う電力も100%再生可能エネルギーに
2022年10月16日 15:58
2020年10月。日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言した。
現在、日本国内で排出される温室効果ガスの8割以上がエネルギーを起源とするものとなっており、CO2排出を削減して目標を達成するためには、まずは何はともあれエネルギーを脱炭素化させることが必須となる。政府や各自治体なども積極的に施策を打ち出してはいるものの、それを実行する民間レベルでの具体的な取り組みがカーボンニュートラル社会実現のカギを握っている。
そんな中、積水ハウスと鴻池組が、積水ハウスグループの取り組みの一環として、鴻池組の施工現場で使用する電力を2030年までに100%再生可能エネルギー化達成を目指すことを発表した。オフィスや家庭などでの再生エネルギーの活用や切り替えは今や珍しいことではなくなった。また、建設業界においても、これまでも施工現場で使用する電力を再生可能エネルギー化する取り組みは行われてはいるが、施工現場で使う全ての電力を同一企業グループ内の再生可能エネルギーによって一体的に賄う取り組みは、業界初の試みだという。
この取り組みの第一弾となるのは、大阪府寝屋川市の発注による「寝屋川市第四中学校区小中一貫校施設整備工事」の施工現場で、10月1日から、同現場で使用する電力を100%「積水ハウスオーナーでんき」の再生可能エネルギーに切り替えた。鴻池組はこれを皮切りに、日本全国に点在する各施工現場への再生可能エネルギーの導入を進め、2030年までに事業で使用する電力の100%再生可能エネルギー化達成を目指す。
この取り組みに使用される「積水ハウスオーナーでんき」は、積水ハウスで住宅を購入したオーナーを対象に、固定価格買取制度(FIT)の期間終了後、太陽光発電の余剰電力を安定した価格で買取るサービスだ。買取った電力は積水ハウスグループ内で使用される。同社では「2040年までに事業活動に使用する電力を100%再生可能エネルギーにする」という目標をRE100イニシアチブに対して宣言しているが、サービス開始から利用者が年々増加しており、2021年度には当初の想定をはるかに上回る36.5GWhもの電力を調達し、10年以上前倒しで目標達成できる見込みだという。今回の鴻池組との取り組みもその一環として位置付けている。
積水ハウスグループといえば、住宅業界のトップメーカーだけに、今回の取り組みが社会に与える影響は大きいだろう。これをきっかけに、同グループだけでなく、数多くある建設業界の施工現場全体に再生可能エネルギー活用が加速すれば、日本のカーボンニュートラルも大きく前進することは間違いないだろう。(編集担当:藤原伊織)