一般医薬品、外出・外食機会の増加やスポーツシーン需要で回復見込み
2022年10月16日 15:52
一般用医薬品(市販薬のうち薬剤師対面指導が不要なもの)の国内市場は、2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行に伴うインバウンド需要の喪失や外出自粛の影響によるスポーツ関連需要の減少、感染症対策で風邪などの罹患率が低下したことなどを背景に大きく縮小した。21年は需要低迷が続く一方で、コロナ禍での生活変化で新たな需要も生まれ、全体としては前年比プラスに回復した。22年は新たな需要の定着に加え、外出や外食の機会が増加しており、前年以上の回復が期待されている。
9月28日、富士経済が「一般用医薬品の国内市場調査」(調査期間:22年5~8月、調査方法:企業ヒヤリング、文献調査、社内データベース)の結果を公表している。これによれば、21年の一般用医薬品の市場規模は6204億円で、前年比1.4%のプラスとなっている。22年は外食機会の増加を背景にした総合胃腸薬やスポーツシーンにおける外用消炎鎮痛剤の回復が期待されるため6315億円、前年比1.8%増と21年を上回る伸びになると見込まれている。
品目別に見ると、感冒関連用薬は総合感冒薬や解熱鎮痛剤、鎮咳去痰剤が感染症対策による風邪罹患率の低下により苦戦し、22年も前年比0.5%の減少と見込まれている。21年はワクチンの副反応対策としてアセトアミノフェン配合製品の需要が急増、解熱鎮痛剤が前年比11.7%増と2桁の伸びとなったが、22年は反動減で0.8%の減少と見込まれている。
伸のびている品目を見ると、外皮用薬で手荒れ対策需要から乾燥皮膚用薬や皮膚治療薬が好調のほか、外用消炎鎮痛剤でロキソプロフェン配合製品が伸長し、21年の前年比2.2%増に続き、22年も同4.6%増の拡大が予想されている。外用消炎鎮痛剤はスポーツシーンにおける需要の回復が期待されることで、22年は前年比8.4%増の大きな伸びとなりそうだ。
胃腸・消化器官用薬では、30%以上を占める総合胃腸薬が外食の機会が戻りつつあることから前年比2.5%増の伸びが見込まれている。ビタミン剤では、ビタミンB2主薬製剤が21年に前年比5.2%増と大きく伸び、22年も4.9%増の拡大になると見込まれている。マスク着用による肌荒れ対策やニキビケアの需要増が背景にあるようだ。
一般用医薬品は、コロナ禍での需要低迷から徐々に回復に向かっており、また消費者の意識変化により新たな需要も拡大している。(編集担当:久保田雄城)