バレンシアガ 2023年夏コレクション - 泥臭く、自分らしく生きる

2022年10月12日 08:29

　バレンシアガ(BALENCIAGA)の2023年夏コレクションが発表された。

■自分らしく生きることの“泥臭さ”

　「何にでもすぐにレッテルを貼りたがる世の中だが、たとえ批判されても、本当の自分に向かって逞しく歩き続けることが大事。」クリエイティブ・ディレクターのデムナは、そう語る。自分らしくいたいと願えば、誰かに殴られることもあるかもしれない。毎日が戦場のように思えるかもしれない。それでも立ち上がって、自分のアイデンティティは自分で守っていくべきなのだ、と。

強い決意を込めた今シーズンの舞台となったのは、暗く湿気漂う“泥だらけの道”だ。このセットは、“真実を掘り下げ、現実的に生きること”のメタファーであるとか。何かと戦っているかのように険しい顔をしたモデルは、そんなぬかるみのランウェイを勇ましく闊歩してゆく。

■戦士のように屈強なスタイル

　ファーストルックには、カニエ・ウェスト改めイェが登場。多数のポケットを備えたミリタリージャケットに、ハードなレザーパンツを合わせた屈強なスタイルでショーの幕開けを飾った。キャップやグローブ、スニーカーといった小物に至るまで全身をブラックで統一しているのにも、底知れぬ意思の強さを感じる。

■ストリートにスポーティーな軽快さを

　散見されたのは、オーバーサイズのMA-1や色褪せたフーディ―、ダメージ加工入りのデニムといった、バレンシアガの得意とするストリートテイストのアイテム。そこにスポーティーなトラックショーツや、“ぬいぐるみ型”のバッグを投入し、重厚な雰囲気のコレクションに軽やかさや遊びをプラスしている。

■ジェンダーロールからの解放を強調

　“ジェンダーロールからの解放”を強調するように、男性モデルが赤ちゃんの人形を抱いていたのも印象的だ。手にはベビーグッズが入ったトートバッグを持ち、足元はフェミニンなリボン付きのバレエシューズを合わせている。

■存在感を放つ蛍光イエローのドレス

　後半に入るにつれ、ドレッシーなアイテムが次々と登場。繊細なプリーツを配したシフォンドレスや、きらきらと輝く光沢素材のオフショルダーワンピースなど、ゴージャス&エレガントなルックがお目見えした。中でも注目は、ふわふわと起毛したニット素材のロングドレス。ブラックを基調としたコレクションの中で、蛍光イエローの新鮮なカラーがひときわ異彩を放っていた。

■遊びを効かせた小物

　遊び心たっぷりの小物類にもフォーカスしたい。たとえば、肩掛けの大きなトートバッグはグローブと一体化したデザインがユニーク。差し色にもなっているピンクやイエローのマフラーは、蛇のようにぐるぐると渦巻いているのが面白い。