渋谷駅桜丘口の再開発、複合施設が上棟 2023年完成 東京のオフィス空室率さらに上昇へ
2022年9月26日 16:17
東京・渋谷駅桜丘口再開発で建築中の複合施設(東京都渋谷区桜丘町)が上棟した。事業を進める渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合に参加する東急不動産が明らかにしたもので、2023年11月に完成する予定。
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複合施設には大規模オフィスが入るが、2023年は都内の再開発ラッシュで多数のオフィスが供給される。渋谷など都心5区のオフィス空室率が供給過剰の目安とされる5%を大きく上回っているだけに、供給過剰に拍車がかかりそうだ。
渋谷駅桜丘口地区は約2.6ヘクタールの再開発区域をA~Cの3街区に分けて工事が進んでいる。A街区は地下4階、地上39階建て延べ約18万4,700平方メートル。B街区は地下1階、地上30階建て延べ約6万9,100平方メートル。C街区は地上4階建て延べ約800平方メートルで、2020年にひと足早く完成している。
A、Bの両街区は低層階に商業施設、中高層階にハイグレードオフィス、住宅が入る。さらに、駅と周辺地区を結ぶ歩行者専用道路や、都市計画道路横断のための歩行者デッキなどが整備され、桜丘口周辺の姿が一新される。
オフィス仲介大手の三鬼商事によると、都心5区(千代田、港、中央、渋谷、新宿)のオフィス平均空室率は6月現在で6.39%。コロナ禍とリモートワークの増加で上昇傾向が続き、供給過剰の目安とされる5%以上を17カ月連続で上回っている。
不動産開発の森トラストによると、2023年は5万平方メートル以上の賃貸面積を持つ大規模オフィスビルが、渋谷駅桜丘口地区をはじめ、港区の田町タワー、東京三田再開発プロジェクト、新宿区の西新宿5丁目北地区など完成ラッシュとなる。コロナ禍に沈静化の兆しが見え始め、東京のビジネス街にようやく活気が戻りつつあるといわれるが、オフィスビルの供給過剰がさらに進むとの見方が強い。(記事:高田泰・記事一覧を見る)