米国は利上げ不況に陥るのか!?
2022年9月22日 16:42
●FRBが0.75%利上げ
米連邦準備理事会(FRB)は、20~21日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)において、0.75%の利上げを決定した。3会合連続の利上げとなる。
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政策金利目標は3.0~3.25%となり、2015年~2018年の利上げ時の2.25~2.5%を大きく上回り、コロナ前を超えたことになる。
これを受けて、NYダウは500ドル以上下落し、22日の日経平均も約160円の下落となった。
2022年3月からわずか半年余りでの急速な利上げとなるが、パウエルFRB議長は今後もインフレ鎮静化まで利上げを続ける方針を示している。
タカ派へと完全に転身したFRBだが、米国経済への影響はどうなるのか?株価への影響も懸念される。
●パウエル議長のこれまで
2021年にもインフレは問題となっており、利上げへの議論も促されていたが、パウエル議長は一時的なものとして一蹴していた。
2022年からタカ派に転じ、8月26日のジャクソンホールでの講演では、「インフレ低下を確信するには程遠い」と発言。楽観ムードだった市場に釘を刺した。
その時も失望売りが広がっていたが、9月中旬に発表された8月の米CPIもピークアウトの兆候は見られず、パウエル氏の見立て通りだった。
●経済への影響は避けられない
今回の利上げは、1980年代前半にボルカー氏が議長だった頃のハイパーインフレとの対峙の状況と似ているとの声も多い。
この時は10%以上まで利上げされたが、失業率も10.8%にまで上昇した。
パウエル氏はそこまでいかないとはしても、景気の悪化は避けられないとしている。
FRBはソフトランディング(軟着陸)を目指していると思われるが、痛みを伴わないで経済を立て直す道はないとしている。
利上げにより失業率は上昇したとしても、利上げせずインフレを放置した時に生活が疲弊することは放置できないのだ。
米・民主党のエリザベス・ウォーレン議員は、現在のインフレはコロナ禍によるサプライチェーン問題や、ロシアのウクライナ侵攻によるものと主張するなど、利上げや金融政策は関係ないとの声も一部にはある。
いずれにせよ、利上げの効果が出るには時間がかかる。少なくとも2023年初頭までは利上げの継続は避けられず、株も為替も、失業率やCPI、個別企業の業績を見ながら慎重な投資とならざるを得ないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)