コロナ禍で広がる「つながらない権利」 時間外の連絡拒否 社内ルールの整備進展
2022年9月17日 18:16
かつては利用率が著しく低かったテレワークだが、コロナ禍での感染予防対策として急速な普及をみせた。実際に多くの者がテレワークを経験し、7割の者がテレワークはデメリットよりメリットの方が大きいと感じるようになっている。メリットとして時間の自由度を挙げる者が多いが、それは逆にテレワークでは就業時間が曖昧となりやすく、時間外に緊急性のない電話やメールのやり取りが発生し、実質的に24時間勤務のような形になってしまうというデメリットもある。テレワーク制度が人材確保にも大きく影響し始めている中、時間外の連絡への対応をしなくとも良い「つながらない権利」の確保に向けた社内ルールの整備が企業で進展しているようだ。
9月5日、NTTデータ経営研究所が7月上旬に「NTTコム リサーチ」登録モニター1103名を対象に実施した「新型コロナウイルス感染症と働き方改革に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、調査時点で働き方改革に取り組んでいる企業は46.1%となっている。「働き方改革の取り組み状況調査」は2015年から毎年実施されているが、前回の21年調査と比べて9.9ポイント減少、初めての減少となっている。これについてレポートでは、「わからない」との回答割合が増加していることから「コロナ禍が長期化する中で、勤務先の働き方改革に関する取り組みが従業員から見えにくくなっている」と考察している。「継続して行ってほしい施策」については、「テレワーク制度」の58.9%がトップ、「休暇取得の推進」53.8%がこれに続いている。
就業時間外の業務上の対応については、上司から時間外に緊急性のない業務上の電話やメールなどがあり、これに週1回以上対応している者は16.0%で、前回21年調査の22.5%と比べ6.5ポイント減少、同僚間では15.9%で、前回調査の25.0%から9.1ポイント減少し、ともに初めての減少となった。レポートは「テレワークの普及により就業時間外における連絡が容易となる中で、つながらない権利の確保に向けた社内ルールの整備などが進展している可能性がある」と分析している。
テレワークのメリットとデメリットについては、「メリットが上回ると感じる」が69.5%と約7割を占めた。具体的には、「通勤等の移動時間を他の時間に充てられる」73.3%、「通勤等の移動がない分、身体的な負担がない」59.8%、「身支度を簡略化できる」33.7%などと、通勤からの解放を理由に挙げる者が圧倒的に多くなっている。(編集担当:久保田雄城)