八戸の商業施設「チーノはちのへ」、国と市の財政支援で再開発へ

2022年9月7日 16:38

 青森県八戸市の熊谷雄一市長は6日、臨時記者会見を開き、市中心部の商業施設「チーノはちのへ」(八戸市十三日町)一帯で民間が計画する再開発事業に財政支援する方針を明らかにした。市議会で承認されれば、分譲マンション、店舗、ホテルなどで構成される複合施設を整備し、市中心部の活性化に活かす。

 再開発事業は不動産開発のフージャースコーポレーションが計画している。チーノはちのへと隣接するビル、駐車場を取り壊し、約5,600平方メートルの跡地に15階建て全142戸の分譲マンション2棟と、1、2階に商業施設、3~6階に約100室のホテルが入る店舗棟、4階建て約270台収容の駐車場棟を整備する。

 10月ごろから調査・設計を進めて2023年春に解体工事に入り、2023年秋に着工して2026年春の完成を目指す。総事業費は約95億円。国の優良建築物等整備事業を活用し、国と市が半額ずつ支出する合計27.8億円の補助金を2025年度までの4年間に交付する。市は9月定例市議会に2022年度分の補助金を盛り込んだ一般会計補正予算案を提案した。

 市は長く中心部の商業の顔だった百貨店の「三春屋」が4月に閉店し、中心市街地の空洞化が深刻さを増している。市の中心市街地活性化事業に対する補助金としては過去最高額となるが、熊谷市長は記者会見で「(今回の補助金交付を)民間との連携によるまちづくりの1つの形ととらえ、新しい中心街構築に取り組みたい」と述べた。

 チーノはちのへは1980年、イトーヨーカドー八戸店を核とする商業施設「八戸スカイビル」として開店した。2003年にイトーヨーカドーと専門店街が閉店したため、チーノはちのへとして再出発している。しかし、施設の老朽化でテナントの撤退が相次いでいるうえ、運営会社の八戸スカイビルが2009年に民事再生法の適用を申請するなど苦戦が続いていた。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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