新車価格も値上げ相次ぐ 原材料費の高騰で

2022年9月5日 16:02

 原材料価格の高騰を背景に、自動車メーカーでは新車価格を引き上げる動きが相次いでいる。日産自動車やホンダ、マツダなどが実質的な値上げを行っており、6月以降に商品改良した主なモデルの価格上昇幅は数千~十数万円に上る。

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 昨今、半導体不足により新車納期が大幅に遅れているが、今度は原材料高騰などによる新車価格の引き上げが消費者を悩ますことになる。

 クルマに多く使われる鉄やアルミ、樹脂などの原材料価格が高騰しており、加えて物流費も高騰していることから、コスト吸収が難しくなったと言う。

 国内では、長年値上げには慎重な姿勢を各企業が取ってきた。それは、長引くデフレの影響から、消費者が激安商品に慣れ親しんできたことが大きな原因だ。

 給与が上がらないために、安くなければ物が売れないのは当たり前だが、安い給与だからこそ、安い商品があることで今まで何とかやり繰りしてきたと言ってもよいだろう。

 だが新型コロナが発端となり、様々な商品の値上げが始まり、クルマにもその波が押し寄せてきたということだ。

 現在、材料費などの上昇分を新車価格に転嫁しているメーカーはホンダ、マツダ、三菱自動車、スバルだ。価格を上昇させるにあたり、一部装備を追加して上昇分を転嫁しているモデルもあるが、三菱自動車の「デリカD:5」や「ミラージュ」は、装備変更をせずに値上げをしている。

 日産自動車の電気自動車リーフは、EV車普及のため6月にバッテリーセルの共通化などで20万円近く値下げを行ったばかりだが、9月22日に価格を改定すると発表している。物流費高騰などの外部要因により、企業努力だけでは価格維持が出来なかったということだ。

 ホンダも仕様変更したN-ONEの新車価格を据え置いたが、シートポケットや抗菌シート、車速連動機能付きワイパーを廃止したことで、実質値上げとなる。

 現時点では、トヨタ自動車や軽自動車メーカーは原材料費高騰分の価格転嫁に慎重姿勢を取っているが、トヨタは日本製鉄と鋼材の値上げで合意したと報じられており、今後どのような対応を見せるか注目が集まる。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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