【映画で学ぶ英語】『イヴの総て』の映画史に残る名言
2022年8月31日 08:04
1950年に公開された映画『イヴの総て』は、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督・脚本、アン・バクスター主演のヒューマンドラマ。女優志望のイヴが大女優マーゴの付き人となったことをきっかけに、スター女優にのし上がって行く物語だ。
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今回はこの映画から、ベティ・デイヴィス演じるマーゴの映画史に残る名言を取り上げたい。
■映画『イヴの総て』のあらすじ
ブロードウェイの大スター・マーゴ・チャニングの公演が行われる劇場の裏口。劇作家の妻でマーゴの親友でもあるカレンは、1人の若い女性が、毎晩公演が終わってマーゴたちが引き上げていく姿を見ていることに気づいた。
イヴ・ハリントン(アン・バクスター)というこの女性に親しみを感じたカレンは、彼女をマーゴに引き合わせる。自分のことを心から尊敬するイヴの言葉に心を打たれたマーゴは、彼女を付き人として雇うことにした。
マーゴの家に住むことになったイヴは、マーゴの雑用をテキパキとこなすばかりでなく、彼女の振る舞いを終始観察するようになる。やがてカレンに頼み込んでマーゴの稽古の代役を務めさせてもらったイヴは、それを足がかりに着々と大スターにのし上がっていくのだった。
■映画『イヴの総て』の名言
最初のうちは気の利くイヴが気に入っていたマーゴ。しかし自分のちょっとしたことまで観察し、頼みもしないことにも気を回すイヴのことを、マーゴは次第に不気味に思うようになる。
マーゴの自宅で彼女のボーイフレンド・ビルの誕生日のパーティーをする晩。マーゴはビルがイヴと親しげに話し込んでいるのを見て不機嫌になる。
ビルとひと悶着あって、おかんむりのマーゴ。早くも到着したパーティーの客に次の名セリフを放つ。
Fasten your seat belts. It’s going to be a bumpy night. - シートベルトをしっかりしてね。今夜は大荒れよ。
■表現解説
今回のセリフのfasten your seat belts(seatbeltsでもよい)は、「シートベルトをしっかり締める」という意味。飛行機や自動車のなかで耳にしたことのあるひともいるかもしれない。
Fastenは「しっかり留める、締める」という意味の他動詞で、tを発音しない点に注意されたい。
「シートベルトを締める」という意味の表現では、この他にbuckle upも日常的によく使われる。
さらにfasten your seatbeltにしてもbuckle upにしても、文字通りの意味に加えて、比喩的にも用いられる。つまり、何か予期しない出来事や困難な状況になるかもしれないから、心の準備をしろ、というような意味だ。今回のセリフも、比喩的に使われている良い例である。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)