CJPTから日野を除名 エンジン認証試験の不正で 物流にも影響か

2022年8月26日 18:12

 Commercial Japan Partnership Technologies (CJPT)は24日、日野自動車が起こした認証試験不正を踏まえ、CJPTから日野を除名することを決定したと発表した。

【こちらも】国内自動車の21年度販売、旺盛な需要に対応できず! 半導体不足が生産の仕組み変えるか?

 CJPTは、トヨタ自動車、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業、日野の共同出資会社。商用車におけるCASE技術やサービスの加速を目指す目的で、設立されていた。日野の出資は10%となっており、株式はトヨタに譲渡するという。

 国土交通省は8月2、3日に日野へ立ち入り検査を行い、排出ガス劣化耐久試験に関する追加の不正行為が発覚した。これまで不正が判明していなかったエンジンも対象となることが判明し、日野は、国内でほぼすべての小型トラックの出荷を8月22日より停止している。

 今回の除名は、消費者や社会からの理解を得られないという、豊田章男トヨタ社長からの投げかけにより、CJPT内での議論で決定されたが、今後も日野には最小限の役割を果たしてもらう考えでは一致しているという。

 現在、半導体不足によりトラック業界も納期が延びており、物流企業への納車が懸念されている。本来であれば、日野が出荷停止になれば、いすゞや三菱ふそうといったライバル企業に注文が回り、市場の混乱は避けられる。

 だがいすゞも三菱ふそうも、半導体不足で部品調達に苦労しており、トラック納入の確約ができない状態だ。もちろん、各企業は必要に合わせて日野以外のトラック購入の検討に入るだろうが、既存のトラック入れ替え時期と、新車トラックの納入時期の見極めはかなり難しくなったといえる。

 また作業者やドライバーの負担増大など、輸送業界が抱える問題解決に向けて結成されたCJPTに日野が参加できなくなったことは、今後の活動にも影響が出るだろう。

 トラックの納入遅れは半導体不足が大きな要因であったが、そこに日野の不正行為が加わり、より混迷しそうだ。解決には様々な対応が必要だが、日野にとっては、まずは信頼を回復することから始めなければいけないだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

関連記事

最新記事