ふるさと納税の第1歩は地域を知ることから 寄附先選びも地方創生の一環
2022年8月7日 07:54
ふるさと納税総合研究所は5日、総務省が発表した「令和4年度ふるさと納税に関する現況調査」の結果を分析したレポートを発表した。地域のふるさと納税への取り組み度合いを分析する意図のもと、都道府県ごとに1自治体の平均寄附額をとりまとめている。
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同研究所のレポートによると、1自治体当りの平均寄附額トップは宮崎県で、1自治体あたりの受入額は約17億7,790万円。県全体の受入合計額は約462億2,550万円となる。県内のふるさと納税受入があった自治体は26自治体と少ないものの、県全体へ与えるふるさと納税効果は大きいと言えるだろう。
2位は佐賀県。1自治体あたりの受入額は約16億9530万円で、県全体の受入合計額は約339億0,570万円だった。佐賀県の受入自治体は20とこちらも少ないものの、農畜産物の返礼品が多く各ふるさと納税Webサイトの人気ランキングでも常に上位ランクインしている。
逆に1自治体あたりの受入額が最も少ないのは39自治体が受入実績を有する奈良県だった。1自治体あたり受入額は約6,740万円となっており、1位の宮崎県とは約30分の1と大きく差が開いた形だ。次に少ないのは東京都で、62自治体が受入実績があるものの1自治体あたりの受入額は約7,710万円だった。
ふるさと納税は年々利用者数が増加している注目の制度で、手続きも簡略化されつつあることから今後さらに利用者が増えるだろう。ふるさと納税は寄附金控除の制度を利用した制度で、自己負担額2,000円のみ負担すればよく、寄附金額に応じて所得税の還付や住民税の控除というメリットがある。さらに寄附をすることで、地域の特産品などの返礼品がもらえることから、消費者にとっては楽しみのひとつにもなる。
ふるさと納税は、都市圏と地方の税収格差を少しでも無くすために、2008年に始まった制度。税収格差を無くすことと同時に、返礼品などを通じた地方創生も目的としている。
ふるさと納税の利用者のほとんどは、Web上のふるさと納税サイトを利用しているが、各サイトでは魅力あふれる返礼品を地域の情報とともに紹介している。返礼品選びでは、おのずと全国のさまざまな地域の特性を知り、返礼品を通じて特産物を知ることになる。
目的は税制面のメリット享受や返礼品をもらうことであったとしても、手段として返礼品を検索するうちに多くの自治体の情報を目にしていることになる。そのなかで訪れてみたい地方や、応援したい地方が見つかるかもしれない。ふるさと納税の本来の制度趣旨に立ち返り、地方を応援するつもりで情報収集をしてみることも良いだろう。(記事:大野 翠・記事一覧を見る)