アフリカの石油・ガス、救世主になるか?
2022年7月30日 08:28
●アフリカへの期待
ウクライナ危機以降、ロシアからの代替エネルギーが課題となっているが、アフリカが救世主となるかもしれない。
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ロイター通信の試算によると、エネルギー企業がアフリカ大陸で検討中のプロジェクトは、総額1,000億ドルと報じている。2010年以降、東アフリカの沖合や内陸に強大な石油、天然ガスの埋蔵が発見されており、アフリカにかかる期待は大きい。
ただ、IEA(国際エネルギー機関)の報告では、2014年の石油・ガス暴落時以降、アフリカのエネルギー向け投資は回復していないとしている。
短期間で、石油・ガスをアフリカに置き換わることは容易ではないが、終わりの見えないエネルギー問題の救世主となれるのか?
●アフリカと石油・ガス
ナイジェリアは、サハラ砂漠における石油・ガス埋蔵量の60~70%を占有していると言われている。
2021年の世界石油生産量ランキングでは、ナイジェリアが14位、16位~18位がリビア、アルジェリア、アンゴラのアフリカ勢が占める。
天然ガス(2021年産出量)ではアルジェリアが10位、ナイジェリアが17位となっている。
現在は石油・ガスをほとんど産出していないナミビア、南アフリカ、ケニアなども将来性があり、ロシアのエネルギーを完全に代替えとまではいかなくても、いくらかは補える。
●課題は?
アフリカが“最後のフロンティア”と呼ばれて久しい。
人口はボーナス期に入っており、今後も大きく増加すると予測され、GDPも大きく拡大すると見られている。
だが2010年以降、資源が発見されていながら、開発の投資決定や政府の承認が下りず、止まっているところが多い。アフリカ特有の内紛やコスト面など課題も多く、一筋縄ではいかない。
CO2排出の環境問題にも発展する可能性もあり、これからも開発が進まないこともあり得る。
石油・ガスの生産能力を上げても、増加するアフリカ全体の需要を賄うことを優先せざる得なくなれば、意味がない。エネルギー価格の下落により、計画がとん挫するリスクもある。
だがいずれにしても、石油・ガス問題は、アフリカ全体の発展に寄与することは間違いない。ロシア問題、インフレ問題が長引き、ワープスピードでアフリカに頼らざるを得ない状況になれば、開発は一気に進むだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)