三菱自、三菱UFJ銀とEV販売提携 取引先・脱炭素支援で軽EVの販促
2022年7月26日 08:41
三菱自動車が電気自動車(EV)販売で三菱UFJ銀行と提携するというニュースが流れた。7月22日付けの日本経済新聞ほかが報じた。
その後、22日の午後、三菱自動車は三菱UFJ銀行と、カーボンニュートラル社会の実現に向けた協業に関する協定書を締結したと正式にリリースした。内容は以下。
昨今、カーボンニュートラル社会の実現に向け、世界的な気候変動問題への対応が急務となるなか、企業を中心に温室効果ガス(Greenhouse Gas/GHG)排出量の削減等が喫緊の課題となっております。
当社は2009年6月に世界初の量産電気自動車として「アイ・ミーブ」を発売して以来、電動化技術をリードしてまいりました。が、今般、三菱UFJ銀行と本協定を通じて包括的なパートナーシップを結び、GHG排出量削減に向けた企業の取り組みをより一層支援してまいります。
その一環として、まずは「eKクロスEV」「ミニキャブ・ミーブ」という軽EVラインナップを有する当社を、三菱UFJ銀行の顧客基盤・ネットワークを活用して、全国の法人のお客様に広くご紹介いただきます。
さらには、「MUFGカーボンニュートラル宣言」に基づき、三菱UFJ銀行及びその関連会社が有する幅広いソリューション提供を受けながら、当社サプライチェーン全体で脱炭素化に向けた取り組みを継続してまいります。
このなかで、自動車メーカーと三菱UFJ銀との提携は初めてだとし、国内の自動車大手とメガバンクがEV販売で連携するのも初となるとも伝えている。
記事によると、三菱UFJ銀が国内本店・支店の法人営業を担う約200拠点でEVの販売仲介を開始。法人顧客の約120万社からEV購入に関心のある企業を選び、三菱自へ紹介するという。三菱自の担当者は銀行側から紹介を受けた企業に軽EVを売り込み、法人向けの販促につなげるようだ。
三菱グループは、旧財閥系中核企業26社で構成する「三菱金曜会」を結成(詳細は別項:「それでも三菱自は潰れない──」を参照)しており、三菱UFJ銀(旧三菱銀行)は、三菱商事、三菱重工業とともに「御三家」としてグループの結束と指導を担う。リコール隠し問題など三菱自経営危機でも、この3社を中心に広報指導など救済の手助けで「組織の三菱」の底力を見せた。
かつて、三菱グループの社員の自家用車は三菱自製とするのが当たり前で、軽自動車のエントリーカー、ミニカからコンパクトのミラージュ、中核のランサー、ギャラン、そしてSUVの先駆けパジェロ、ショーファーカーのデボネアまでラインアップしていた。しかし、現在の三菱自のモデルラインはあまりにも貧弱だ。
果たして、三菱グループの社員がホテルの宴会場などで、キリンビール以外のブランドに手を出さないように、EVの拡販でも「組織の三菱」の面目躍如といけるのだろうか。(編集担当:吉田恒)