「4ナンバー」「最大積載量3000kg」トラック誕生裏話
2022年7月25日 07:52
普段車の走行中に、ごく普通に「4ナンバー」で「3000kg」積載のトラックを見かける事があると思う。だがこの「4ナンバー」で「最大積載量3000kg」の小型トラックはある事件から誕生した。
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●昔の4ナンバー最大積載量は2000kgだった
従来、「監督官庁」は「4ナンバー」小型トラックの最大積載量は「2000kg」としていた。
それは、小型車の規格は「全長4700mm×全幅1700mm×全高2000mm」の寸法規制と、2000cc以下の排気量規制の制限(ディーゼルは無制限)。そしてこれとは別に、「最大積載量2000kg」の制限があった。
●陸運事務所のミスが原因
事件が起こったのは、S県のディーラー。
最大積載量が「3000kg」のトラックを登録したところ、陸運事務所の「ミス」で、本来「1ナンバー」で登録されるべきところ、「4ナンバー」で登録されてしまった。
ほぼ同じサイズだが、最大積載量が3000kgになるだけで「1ナンバー」となり、ダンプカーとなると、保険料が大型車並みに跳ね上がるため、本来ならばユーザーとしてはこんなに喜ばしい事は無い。
ところが監督官庁の悪癖として、自分達のミスは認めようとせず、紛らわしい寸法が原因だとか、いろいろ難癖がつけられた。
●監督官庁の棚卸し
ここで棚卸しをしてしまうと、自動車メーカーは勿論、傘下のディーラーも「泣く子と地頭には勝てない」の諺とおり、監督官庁に睨まれると、しっぺ返しが怖い。
昨今はどこまで改善されたかは定かで無いが、当時は陸運事務所でも、係官に逆らうとロクな事が無いから、何があっても「ご無理ごもっとも」で引き下がる。
陸運事務所で係官を怒鳴りつけているのは、俗に言う「モーター屋のおっさん」位のものだ。失礼ながら、彼等はしっぺ返しも通用しないから、怖いものなしで、おかしいと思ったら負けてはいない。
●甚大な被害が伴った
本件の場合は、ディーラー側に何等の落ち度も無いのに、平身低頭で引き下がったにも拘わらず、とばっちりはメーカーにも及び、次期モデルの発売時期が延期になってしまう破目になった。
『泣く子と地頭と監督官庁』(2020年6月19日付)でも述べたが、ナンバープレートの位置は、車体中央でなければならないとしたり、今は廃止された速度超過警告はブザーで無ければならないとしたり。またフロント安全合わせガラスのガラスを接着する層に封入した、馬の尻尾よりも細いアンテナ線が「前方視界を妨げないことを証明しろ」と言ってみたり、メーカーの立場からは、権力を笠に着た対応に辟易させられた。
因みに、「泣く子と地頭には勝てない」とは、「笠をかぶって日差しや雨を避けるように、権力や地位に守られながら自分勝手なことをするという意味」だ。
当時は、いろいろ大変だったが、現在では「4ナンバー」で「3000kg」積載のトラックが普通になっている。
先人の汗と涙で、次第に合理的に、便利になっているのをみるにつけ、当時の事が思い起こされて、複雑な思いをした。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)