コロナ破たんは前年比3割増 待機期間緩和も中国の封鎖リスクを懸念 東京商工リサーチ
2022年7月23日 18:52
東京商工リサーチは22日、新型コロナウイルスの影響で2022年上半期に経営破たんした国内事業者数が、前年同期比30.7%となる1,029件に達したと発表した。7月も22日時点で126件が判明しており、引き続き高水準を維持している。
【こちらも】景況、製造業と小売サービス業で二極化 製造業、供給網の不透明感で減速続く
日本では第7波が広がるものの政府は行動制限を緩和し、経済活動への影響を和らげる方針。一方中国では、一部の都市が再びロックダウンしており、サプライチェーンの混乱が国内事業者の経営を更に圧迫するリスクがある。
東京都は22日、都内で新たに確認されたコロナ感染者数が3万4,995人となり、2日連続で過去最多を更新したと発表。年代別では20代が最も多く、65歳以上の高齢者は全体の7.8%を占めた。人工呼吸器ないしECMOを使用する重症患者は15人で、死亡者は7人が確認された。小池都知事は行動制限について「先手先手で行っていきたい」としつつも、まずは状況を注視する考えを22日の記者会見で示した。
新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間23日午前10時時点で5億6,872万人超に達した。国別の最多は米国の9,035万人超、次いでインドが4,384万人、フランスが3,362万人、ブラジルが3,355万人。日本は直近4週間の新規感染者数が160万人超と世界で5番目に多く、累計感染者数は1,099万人を超えた。
日本政府は22日、コロナ感染者の濃厚接触者に求める待機期間を最短3日に短縮すると発表。感染が急速に拡大する中、行動制限を緩和することで、人手不足による社会経済活動への影響を和らげるのが狙い。岸田首相は同日、「現時点で新たな行動制限は考えていない」と明言した。第7波の経済への影響が懸念される中、外出にかかる業界に限らず、広く産業界に安心感を与えた。
一方、中国ではロックダウンを導入する都市が増えている。野村の中国主席エコノミスト・陸挺氏によれば、18日時点で41の都市が行動制限を実施しており、対象の人数は2.6億人に達しているとのこと。自動車や半導体などのグローバルサプライチェーンを更に悪化させる可能性があり、日本においても工場の稼働抑制や納期遅れなどの影響が懸念される。
かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数がハイペースを維持しているとの結果を発表した。2022年上半期は前年同期を3割上回り、7月は22日時点で126件、コロナ発生以降の累計では3,910件(負債1,000万円未満を含む)に達した。7月だけで従業員50人以上の破たんが5件確認され、破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万4,767人となった。
コロナ関係の経営破たん件数が引き続きハイペースを維持する中、日本政府はコロナ第7波の社会経済活動への影響を最小限にする考えを示している。一方、製造業を中心にサプライチェーンがグローバル化する中、中国におけるロックダウンの影響が日本の企業へ与えるリスクが懸念される。(記事:dailyst・記事一覧を見る)