コロナ破たんはハイペースを維持 旅行業など回復するも第7波を懸念 東京商工リサーチ
2022年7月9日 12:03
東京商工リサーチは8日、新型コロナウイルスの影響で7月に経営破たんした国内事業者数が62件となり、引き続き高水準で発生していると発表した。2022年は2021年を上回るペースで推移しており、6月も212件と過去2番目に多かった。
【こちらも】飲食業の倒産件数、2022年上半期は過去20年で最少に コロナ原因の割合は増加
コロナからの正常化で旅行業界などが業績を回復させつつある中、第7波と見られる足元の感染拡大の影響が懸念される。事業者においては「ゼロゼロ融資」の元本返済に加え、世界的な物価高を受け、経営環境は依然厳しい。
東京都は8日、都内で新たに確認されたコロナ感染者数が8,777人で、前週金曜日の約2.5倍に達したと発表。21日連続で前の週の同じ曜日を上回り、特に7月に入ってから拡大ペースが加速している。年代別では20代が最も多く、65歳以上の高齢者は全体の7.1%を占めた。人工呼吸器ないしECMOを使用する重症患者は1名増え7人となり、死亡者は1人が確認された。
新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間9日午前9時時点で5億5,430万人超、死者数は634万人超。国別の最多は米国の8,854万人超、次いでインドが4,358万人、ブラジルが3,283万人。以下、フランス3,231万人、ドイツ2,892万人、イギリス2,308万人、韓国1,847万人と続く。日本は直近4週間の新規感染者数が世界で8番目に多く、累計感染者数は958万人を超えた。
ANAホールディングスは7日、国内線の回復により7月には単月黒字に転じるとの見通しを示した。通期業績も、23年3月期には営業損益ベースで3期ぶりの黒字化を目指すとのこと。政府の水際対策がさらに緩和されれば、国際線の需要回復による業績押し上げも期待できる。一方、7月よりコロナの感染拡大が加速しており、政府による旅行支援策の導入時期が延期される可能性が高まるなど、いまだ不透明感は残る。
かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数がハイペースを維持しているとの結果を発表した。7月は8日時点で62件、コロナ発生以降の累計では3,843件(負債1,000万円未満を含む)に達した。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万4,144人となった。
2022年は6月までに発生したコロナ関連の破たん件数が前年同期を30%上回り、破たんペースが明らかに増加している。コロナ対策の目玉として実施された「ゼロゼロ融資」について、すでに半数以上の事業者で元本返済が始まったと見られており、売上が元に戻らない中で資金の回らない事業者が多い。加えて、資源をはじめ幅広い品目の物価上昇も破たん件数の増加を招いている。(記事:dailyst・記事一覧を見る)