持続化給付金詐欺騒動は、ピークを過ぎたか? 積み重なった、余りにもお粗末な犯行!
2022年6月20日 07:55
経済産業省のHPには、「持続化給付金・・・の不正受給は絶対に許しません」というメッセージが、赤枠に囲まれて掲載されている。
【こちらも】コロナ破たんはハイペース 円安への警戒も 東京商工リサーチ
持続化給付金は、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた事業者などの、事業継続と再起を支援するために、日本で初めて行われる事業者への現金給付として、2020年5月1日から受付が始まった。制度の創設が伝えられた頃から、国会では与野党が入り乱れて「とにかく早く支給しろ」という、選挙民向けと見まがうようなアピール合戦が行われていた。
通常、こうした給付金の支給に関しては間違いや不正が発生しないように、支給する前段の審査が厳格に行われるため、相応の時間がかかることは暗黙の了解事項だった。
持続化給付金に関しては該当者が相当数に上ることが予想され、通常の審査では支給までに相当な時間がかかることが容易に想像出来た。そのため国会では、与野党議員による「1秒でも早く」と、支給の前倒しを求める声が強くなるという、特異な状況が生まれた。
そこで、多少の不正が発生しても支給開始を最優先する特例に至り、申請を受付たら支給を進め、審査はその後に行うことになった。不正行為は大いに懸念されていたため、「不正な行為は必ず分かるし、ペナルティもある」というアナウンスもされていた。
案の定と言うべきか、それでもと言うべきか、大量の不正が発生した。呆れるのは、全国36都道府県で40名以上の勧誘役が給付金詐欺の実行犯を募集する事例があったり、SNSなども使いながらわずか4カ月でおよそ1780件の虚偽申請を行う強者が発生したり、いずれ追及されることが分かり切っているのに、東京国税局の職員までもが詐欺に加わっていたことだ。
中小企業庁は9日までに、認定した不正受給者を1247名、不正受給総額を12億5757万3000円と公表している。このうち、1006名の10億1158万5000円については元金の他に、20%の加算金と年利3%の延滞金も徴収済みである。延滞金は個々の不正受給者が返還までに要した日数にバラツキがあるので計算出来ないが、20%の加算金が2億円超であることは明白なので、既に12憶円超が回収された計算になる。
不正受給相当額が概ね回収された。経産省のHPには、不正受給者との認定を受けたもののうち、未だに返還していない百数十名の実名と所在地が掲載されている。こうしたペナルティも、今までに例のない過酷さだ。
持続化給付金は受給者の実名が明確に把握されている。出来心で不正を犯したような人達は、早急に自ら名乗り出るべきだろう。現に、誤って受給したと返還を申し出た先が2万2322件で、そのうち既に1万5440件は返金手続きを終えていて、返還された金額が166億1700万円となっている。多くの人が20%の加算金を負担しているようなので、高い授業料となった。
持続化給付金の給付は既に終了し、件数で約424万件、総額で約5兆5000億円の給付となった。判明していた海外逃亡組も既に堀の中に落ちて、持続化給付金狂騒曲は終演に向かっている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)