「鳥取大丸」の名称消滅、9月から「丸由百貨店」として再スタート
2022年5月24日 16:05
鳥取県の百貨店・鳥取大丸(鳥取市今町)が、9月から店名を創業当時の「丸由(まるゆう)百貨店」に改めることを決めた。J.フロントリテイリング子会社の大丸松坂屋百貨店と結んだ商号や商標のライセンス契約が、8月末に終了するためで、73年間にわたって鳥取県民に親しまれてきた「鳥取大丸」の名が消える。
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店名の変更は9月1日付。同時に、会社名の「株式会社鳥取大丸」も「株式会社丸由」に切り替える。丸由百貨店としてのオープンは9月3日を予定している。ブランドマークや包装紙、制服なども一新されるが、鳥取大丸発行のクレジットカードや友の会会員証、商品券は継続して利用できる。大丸松坂屋百貨店との業務提携は継続する。
鳥取大丸は戦前の1937年、丸由百貨店として鳥取駅前にオープン。終戦後の1949年、当時の大丸(現大丸松坂屋百貨店)と資本業務提携を結び、鳥取大丸の名前で営業に入った。以後、鳥取市の中心市街地である鳥取駅前の核店舗となり、県民の暮らしを支えてきた。
売り上げがピークを迎えた1997年には、年商が140億円近くに達したが、その後は郊外型量販店との競争が激化。中心市街地の集客力が低下するのに伴って売り上げが減少した。若者の百貨店離れやインターネット通販の台頭もあり、2018年に20億円を超す負債を抱えて経営危機に直面する。
このため、地元の日の丸グループなどが出資して設立された新会社が事業分割で百貨店事業を承継した。その結果、J.フロントリテイリングとの資本関係はなくなったが、フロアのリニューアルやテナントの入れ替えなどを進めて事業の立て直しを進めている。
鳥取大丸はホームページで、「百貨店が持つ楽しさやワクワク感を取り戻し、にぎわいの中心であった原点に回帰したい」と意気込みを記しているが、73年間親しまれてきた名称の消滅を残念がる声も上がりそうだ。(記事:高田泰・記事一覧を見る)