【株式市場特集】自己株式取得を発表し投資採算的に割安な銘柄に注目

2022年5月17日 08:25

【日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部】

 今週の当特集では、攻防両用の保険付き、バッファー(緩衝材)付きの銘柄にフォーカスすることを提案することとした。保険付き・バッファー付き銘柄とは、自己株式取得を発表し推進中の割安株である。自己株式取得を発表した銘柄は、今年4月21日に3月期決算と同時に発表した日本電産<6594>(東証プライム)以来、前週末13日までで190社超にのぼる。取得総額は、NTT<9432>(東証プライム)の4000億円をトップに1億円弱まで千差万別で、取得方法も立会外買付取引も含まれるが、このうち投資採算的に割安な銘柄である。

 自己株式取得は、もちろん株主への利益還元のための資本政策である。これに加えて経営者が、自社の株価が安過ぎるとするアナウンス効果もあるといわれており、仮にマーケットが波乱様相を強めることになっても、最後の買い主体となって一定の株価激変緩和効果が期待できるはずで、現に日本電産は、すでに4月30日までの5営業日で42億円超の取得を行った。さらにヤマダホールディングス<9831>(東証プライム)のように、取得総額1000億円の自己株式取得を発表し、取得株式総数が発行済み株式総数の23.9%に達するとしてストップ高したケースもあり、場合によっては株高効果も期待できることになる。取得総額4000億円から20億円の銘柄に絞ってスクリーングしても、有望銘柄が目白押しとなる。

■取得総額4000億円の主力株から取得比率の高い中堅株も浮上

 取得総額の500億円超から4000億円までに絞った割安株をあげると、コード番号順に大成建設<1801>(東証プライム)、信越化学工業<4063>(東証プライム)、ENEOS<5020>(東証プライム)、日本郵政<6178>(東証プライム)、日立製作所<6501>(東証プライム)、富士通<6702>(東証プライム)、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)、キヤノン<7751>(東証プライム)、三菱商事<8058>(東証プライム)、オリックス<8591>(東証プライム)、NTT、ヤマダホールディングスとなる。

 取得総額は100億円以下だが、ヤマダホールディングスのように発行済み株式総数への取得比率が相対的に高い割安株では、コード番号順に熊谷組<1861>(東証プライム)、クラボウ<3106>(東証プライム)、セントラル硝子<4044>(東証プライム)、アイモバイル<6535>(東証プライム)、サトーホールディングス<6287>(東証プライム)、ユアサ商事<8074>(東証プライム)などの中堅株が浮上する。

■ハイテク株、材料株、地銀株も注目度がアップし出番を期待

 ハイテク株では、前週末13日に取得総額を20億円から50億円に増額し取得期間を延長した上村工業<4966>(東証スタンダード)を先頭に、デクセリアルズ<4980>(東証プライム)、アルプスアルパイン<6770>(東証プライム)、マクセル<6810>(東証プライム)、リコー<7752>(東証プライム)などが続き要注目となる。材料株では、前週末に今9月期業績の上方修正と自己株式取得を同時発表したオープンハウス<3288>(東証プライム)と資本提携の解消で互いに保有していた自己株式を立会外買付取引で取得し、つれて今12月期純利益を上方修正したサカタインクス<4633>(東証プライム)と東洋インキSCホールディングス<4634>(東証プライム)の週明けの株価反応に期待を高めよう。

 超割安株価で自己株式取得が続出したのが地銀株である。前週末13日には一斉に11行が発表したほどだ。これを含めて関連の割安株は、北國フィナンシャルホールディングス<7381>(東証プライム)、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>(東証プライム)、八十二銀行<8359>(東証プライム)、滋賀銀行<8366>(東証プライム)、紀陽銀行<8370>(東証プライム)、伊予銀行<8385>(東証プライム)、百十四銀行<8386>(東証プライム)、山口フィナンシャルグループ<8418>(東証プライム)、名古屋銀行<8522>(東証プライム)と続き、立会外買付取引で取得する富山第一銀行<7184>(東証プライム)、阿波銀行<8388>(東証プライム)も、一角を占める。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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