クリレスHD Research Memo(1):22年2月期は収益体質の強化や助成金等の計上を通じて大幅な黒字化を実現
2022年5月9日 15:11
*15:11JST クリレスHD Research Memo(1):22年2月期は収益体質の強化や助成金等の計上を通じて大幅な黒字化を実現
■要約
1. 会社概要
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略や、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」に特長がある。2022年2月期末現在の店舗数は約250業態で1,037店舗※にのぼる。足元では新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による影響が外食業界に影を落としているが、徹底したコストコントロールを通じた収益体質の強化を図るとともに、アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直しにも取り組む。2022年4月から「東証プライム市場」へ移行した。
※業務受託店舗、FC店舗のすべてを含む(以下、同様)。
2. 2022年2月期の業績
2022年2月期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前期比5.2%増の78,324百万円、営業利益が7,633百万円(前期は14,181百万円の損失)と増収及び大幅な黒字化を実現した。売上収益は、コロナ禍が継続するなか、相次ぐ緊急事態宣言の発出等に伴う時短営業・休業、酒類提供制限等により、居酒屋業態を中心とする「SFPカテゴリー」が低調に推移したものの、郊外SCが好調であった「CRカテゴリー」や「海外カテゴリー」の回復、「専門ブランドカテゴリー」の日常ブランド(ベーカリーやそば・つけめん業態等)の貢献によりカバーし、増収を確保することができた。損益面についても、収益体質の強化に加え、時短営業協力金・雇用調整助成金等(以下、協力金等)の下支えもあり、前期の赤字からV字回復を達成した。調整後EBITDA※も、すべてのカテゴリーで改善し、プラスを確保している。また、公募増資の実施(約162億円の資金調達)及び資産圧縮により財務体質の改善にも取り組んだ。
※営業利益+その他の営業費用−その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+減価償却費+非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
3. 2023年2月期の業績予想
2023年2月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比46.8%増の115,000百万円と大幅な増収を見込んでいる。また、協力金等のはく落※により営業利益は同4.4%減の7,300百万円と前期比で減益となるものの、高い利益率水準を維持するとともに、調整後EBITDAも24,700百万円を確保する見通しである。新たな変異株の懸念やライフスタイルの変化等による影響を慎重に判断し、実質既存店売上高(通期)はコロナ禍前と比較して78.5%の水準を予想している。また、出退店については、新規出店30店舗、退店24店舗を計画。アフターコロナを見据えた業態開発にチャレンジするとともに、投資効率を意識した出退店及び業態変更を促進することで、再成長に向けた基盤づくりに取り組む方針である。
※まん延防止等重点措置(1/21~3/21)に対応する分(前期からの期ずれ分の約22億円を含む)は、業績予想に含まれている。
4. 今後の方向性
同社は新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。もっとも、1)アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し、2)グループ連邦経営のさらなる進化、3)DX推進による生産性の向上・人財不足への対応といった成長戦略の3本の柱に見直しはなく、「食を通じて、ステークホルダーに対し、『豊かさ』を提供し続ける企業グループ」を目指していく方向性である。最終年度である2025年2月期の業績目標として、売上収益140,000百万円、営業利益10,900百万円、調整後EBITDA28,400百万円を掲げており、毎期30店舗の新規出店等により、成長軌道に回帰させるシナリオを描いている。
■Key Points
・2022年2月期の業績は、コロナ禍が継続するなかでも、収益体質の強化や協力金等の計上を通じて大幅な黒字化を実現
・公募増資の実施及び資産圧縮により、再成長に向けた財務基盤の改善にも取り組む
・2023年2月期の業績予想について同社は、既存店売上高の一定の回復(コロナ禍前の78.5%)により大幅な増収を見込む
・新たに3ヶ年の中期経営計画を公表。アフターコロナを見据えた成長戦略により、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《ST》