ポストコロナ、4割の企業が「既存債務が足かせ」 事業再構築への取り組み
2022年4月28日 10:09
コロナ禍は2年を超え長期化しており、欧米では既にウイズコロナでの経済正常化の動きが加速している。日本においてもコロナ禍2年を経て企業体力も限界に近づき、ポストコロナをにらんだ事業再構築への取り組みが始まっている。コロナ禍での各種支援策が奏功し企業倒産はコロナ以前よりも低水準で推移しているが、コロナ禍の長期化で収益力を喪失した企業は少なくなく収益力を回復させるための事業再構築は喫緊の課題である。一方で、その事業資金の調達先である金融機関からは、企業の返済能力に懸念を表わす声も出てきており、コロナ禍で膨れあがった債務が事業再構築への取り組みの足かせとなるケースが増えているようだ。
4月20日に公表された東京商工リサーチの「第21回コロナアンケート」の集計結果によれば、コロナによる悪影響が「継続している」企業は70.0%となっており未だ多くの企業が悪影響を被っているようだ。本年3月の売上高が前年割れとなっている企業の割合は42.2%で未だ4割超が減収企業だ。規模別には、大企業(資本金1億円以上)が32.8%、中小企業(同1億円未満)は43.4%で、中小企業で多くなっている。減収企業の割合は2020年5月の大企業83.3%、中小企業88.0%がピークでその後は徐々に減少傾向だが、今年3月の売上高がコロナ前の19年3月の半額以下になっている企業の割合は、「宿泊業」で50.0%、「飲食業」34.3%などとなっており、収益力がコロナ前に戻らない企業は少なくない。既に事業再構築を行っている企業は14.0%、「検討」も加えると44.4%となり、業種別では映画館や劇場などの「娯楽業」84.6%、「飲食店」69.6%が上位だ。再構築の内容では「新たなビジネス領域への進出」49.2%がトップで新分野進出、事業多角化が目立つ。
「既存の債務が事業再構築への取り組みにマイナスの影響を与えているか」という問いには、大企業で30.8%、中小企業では39.1%が「影響あり」と答えている。借入金の返済見通しについて「懸念あり」と答えた企業は、大企業では6.3%のみであるのに対し中小企業では20.1%となっている。業種別には「宿泊業」の60.0%がトップだ。金融機関からは「再構築に向けた新規貸付の前に既存分の返済が先」との声も聞かれ、この点について効果的な支援がなされない限り「政策支援で抑制されている倒産が増加に転じる恐れもある」とレポートは指摘する。(編集担当:久保田雄城)