知ってそうで誤解している? 「famous」と「popular」の違い
2022年4月23日 11:44
「famous」と「popular」、どちらも中学の早い段階で習う基本英単語だが、これら2つの単語の意味を正確に区別できるだろうか。「famous」が「有名な」、「popular」が「人気のある」と答える人がほとんどだろうが、ときどき混同しそうになることがあるため注意したい。
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最初に次の文章を見てもらいたい。
After the (A) actor visited, the restaurant became more (B).
空欄AとBには、それぞれ「famous」と「popular」のどちらかが入るのだが、どちらにどちらが入るのか分かるだろうか。正解できるだけでなく、なぜそれが正解なのかまで説明できるようにしておきたい。
■famousの基本的な意味
「famous」とは、冒頭にも記したように「有名な」が基本的な意味である。別の言い方をするなら、「多くの人に知られている」、または、「多くの人の話題に上る」としてもよいだろう。人や場所、そのほか、本や映画、ゲームなどあらゆるものが対象になる。
注意しておきたいのが、「famous」だからと言って、人気とは限らないし、多くの人に好かれているわけでもない、ということだ。たとえば、「Tokyo is famous for the Shibuya Crossing.(東京は渋谷のスクランブル交差点で有名だ)」など、「famous」の後には前置詞「for」を置いてその理由を説明できるが、この例文でも明らかなように、ここには好き嫌いの判断は含まれていない。
したがって、良くない意味で有名なことについても「famous」を使うことはできる。ただし、悪いことで有名なことを強調したい時、つまり、「悪名高い」と言いたい時には「infamous」や「notorious」といった別の形容詞を使う。
必ずしも人に好かれているとは限らないとは言いつつも、「famous」と言う時には好意的な意味が含まれていることが多い。訳語としては、「有名な」より「高名な」の方が適切なことも多いということだ。
■popularの基本的な意味
「popular」の基本的な意味は、「人に好かれている」ということだ。したがって、「人気のある」ということなのだが、この場合、多くの人に知られているとは限らないことに注意したい。もちろん「popular」かつ「famous」な人や物は多いが、一部の限られた人にだけ人気があるものについても「popular」を用いることができる。
「popular」の後には前置詞「with」や「among」を置いて、それがどんな種類の人たちに人気があるのかを示す。「That café is popular with high school students.」と言えば、「あのカフェは高校生に人気がある」という意味だ。また、「I’m not very popular with her.(私はあまり彼女に好かれていない)」のように、相手が1人だけの場合にも「popular」を使うことができる。
■「famous」と「popular」の違い
上記の説明から、「After the (A) actor visited, the restaurant became more (B).」の空欄A・Bに、「famous」と「popular」のどちらが入るのかお分かりいただけただろう。正解は、Aが「famous」、Bが「popular」だ。
「the famous actor」、つまり、多くの人に知られている有名な役者が訪れたから、そのレストランは人気になったわけだ。逆にして「the popular actor」とすると、この役者は、ごく一部の人しか知らないカルト的人気の役者ということもあり得る。その結果、レストランが多くの人に知られるようになったというのは少し変ではないだろうか。そう考えると、Aが「famous」、Bが「popular」とするのがより適切だと導けるだろう。
このように、当たり前と思えるような英単語でも侮ることはできない。特にカタカナ英語の場合、本来のニュアンスとかなり違うこともあるので要注意だ。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)