人手不足の自動車整備業、外国人整備士の特定技能2号に期待と不安

2022年4月18日 17:47

 ファインピースは18日、外国人整備士.comと連携し、特定技能2号取得に向けたサポートを開始することを発表した。特定技能2号は現在、「建設」「造船・船用工業」の2分野のみ適用されているが、2022年度中には自動車整備も含む13分野への拡大が検討されている。

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 近年、若者の自動車離れが加速し、就業先も多様化したことから自動車整備を仕事に選ぶ若者は少ない。加えて、自動車整備の給与が安いと言われていることも若者がこの職種を選ばない1つの理由と言える。

 自動車整備業界は、人材面でかなり苦境に立たされていると言っていい。このまま人材不足が加速すれば、地域の整備工場がなくなり、車検を受けるにも遠くまで足を延ばす必要が出てくるだろう。

 そんな問題を打開する方法の1つが、外国人労働者だ。「特定技能1号」では最長5年しかビザは下りなかったが、2号が整備業界にも認められれば、有能な外国人が定住できるようになり、人手不足解消につながる可能性もある。

 一方で、外国人就労者が増えることに、不安を抱く人が少なくないことも事実だ。筆者は現在フィリピン在住だが、ここから日本に夢を見て技能実習生として働きに出たいと考える若者をよく知っている。その中には犯罪に手を染めている家庭もあることから、この制度には多少ならず疑問を感じている。

 筆者が知る身近な技能実習生の例では、その妻の父親が覚せい剤販売で逮捕され、家族ぐるみで覚せい剤を販売していたことがあった。通常なら技能実習生の名前も犯罪者のリストに載るはずだったのだが、汚職がはびこるこの国ではいわば常套手段として、お金で技能実習生の名前を犯罪者リストから排除し、近日中に整備士としての来日が決まっている。これは大いに懸念すべき問題ではないだろうか。

 もちろん、こういった例ばかりではないし、まじめな技能実習生も多くいることだろう。だが日本とは慣習や経済レベルも違う国から多くの人を受け入れるということは、こういう危険性とも隣り合わせである、ということにもなる。

 現状の給与や就業形態では、若者は整備士を目指しづらい。昔は、趣味が高じて整備士になる人も多くいたが、クルマ離れが進む日本では、それも難しい。一方で外国人労働者を安易に増やして解決すればいいかといえば、そう簡単な問題ではないだろう。

 どのような方法が最善かは難しい問題だが、どちらにせよまずは、日本人の若者でも整備士を目指したいと思えるほどに、給与や労働環境を改善することが急務ではないだろうか。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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