クレジットで気を吐く楽天と丸井! 加盟店から手数料、リボ払いで利用者からも、2倍の旨み
2022年4月13日 10:49
最近のクレジットカード会社はとっても親切だ。支払時期になると明細を通知して来るのは当然だとして、懐具合を心配しているのかリボ払いを再三勧めて来る。某社などは、リボ払いを利用するとポイントが多く付くと、わざわざ教えてくれた。親切心に感謝してリボ払いに変更したところ、多少増えたポイントが阿保らしくなる位の手数料を請求されてビックリした。そんな経験をした人は少なくないかも知れない。
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従来、クレジットカード会社にとって、加盟店から徴収する決済手数料が主な収入源だった。カード利用者が支払いをするしないに拘わらず、カード会社が売上代金を加盟店に支払う訳だから、2~4%程度(カード会社と加盟店の契約なので幅がある)の手数料は、止むを得ない経費と言る。
カードの利用に馴れると、気が大きくなって使い方が派手になるリスクは以前からあったが、今はリボルビング払いという便利なシステムがある。あらかじめ毎月の支払金額を決めておくと、超過した分は翌月以降に繰り越されるから有難い。そう思っているうちに繰り越される金額が、雪だるま式に膨らんで後悔する人もいる。
仮に毎月2万円のリボ払いを利用している人が、カードで毎月5万円の買い物をしていると、単純計算で年間36万円が繰り越される。実際には支払いは利息に優先して充てられるため、元金の残高は更に増えているはずだ。いつまで経っても完済することが出来なくなってしまうが、カード会社にとってはこれが美味しい。
リボ払いの手数料は年率換算で8.04%~18.0%(会社によって違う)程度が適用される。8.04%が飛び抜けて良心的な低さに見えるかも知れないが、2~4%という決済手数料に比べたら、2倍から4倍に相当する立派な高利率で、一般的に適用される15%の手数料が、飛び抜けていることを再認識すべきだ。手数料と言っても、実質は未払い残高に対する延滞金利のようなものである。
このリボ払いをカード利用者に、巧みに浸透させていると目されているのが楽天カードとエスポカードである。コロナ過により盛況が伝えられるECで気を吐いている楽天カードは、楽天経済圏と表現されるほど顧客の囲い込みに長けている。あまりに居心地がいいので、囲い込まれていることを忘れるくらいだ。楽天モバイルがなかなか赤字基調を脱出できない状態でも、楽天グループを支える大黒柱であることは間違いない。
エポスカードは丸井のハウスカードのようなものだが、ハウスカードであることを意識させないネーミングや、カード会社が従来ターゲットとしていた年代から更に若年層に狙いを絞ったこと。あらかじめカードの利用先としてエポスカードの加盟店3社を登録すると、その会社でカードを利用した場合には3倍のポイントが付く、という戦略が奏功して好調だと言う。
小売りの丸井が21年3月期に叩き出した430億円の営業利益の90%以上を、金融が稼いでいると言うから凄い。20年の春先に丸井が「売らない店」をアピールして、「体験の提供」が狙いだと経営方針の大きな転換を告知したのも、儲けの源泉をしっかり認識したために他ならない。
エポスカードの元社長が、3倍ポイントシステムを「自分の発明だ」として、その対価を求めて東京地裁に提訴したことは、丸井にとって驚天動地の事態だったろう。今後も稼ぎが期待されるシステムに、金食い虫が仕込まれていたようなものだ。裁判の行方からも目を離せない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)