AirTagによるストーキング被害、通知機能で追跡に気付くのは 3分の1
2022年4月10日 08:14
Motherboard が AirTag の悪用による被害を警察の記録で調べたところ、ストーキング防止用の通知機能で追跡に気付いたケースは 3 分の 1 にとどまるそうだ(Motherboard の記事、9to5Mac の記事)。
Motherboard では米国で最も規模の大きい数十の警察署に対し、直近 8 か月で AirTag に言及している捜査記録の閲覧を要請。8 つの警察署から計 150 件の記録が提供されたという。このうち所有していない AirTag による追跡が行われるとの通知を受けて通報したケースは 50 件であり、ほとんどが元パートナーや現パートナーによるストーキングや嫌がらせ目的の追跡だったようだ。ターゲットのほとんどは女性であり、男性に対するストーキングが疑われたケースは 1 件のみ。窃盗目的の AirTag 悪用とみられる記録は半数以下にとどまったとのこと。
ユーザーのプライバシーへの配慮を誇る Apple だが、同社エコシステム外のプライバシーへの配慮は後回しになりがちだ。持ち主から離れた場所にある AirTag は当初から iPhone で検知可能だったが、Apple が Android デバイスで検出可能なアプリの提供を開始したのは AirTag 発売から半年以上経過した昨年 12 月のことだ。なお、Google も Android に搭載する Bluetooth 追跡デバイス検出機能の開発を進めているようだ。9to5Google が Google Play 開発者サービスの APK で同機能を発見している。
EFF の Eva Galperin 氏はドメスティックバイオレンスの問題を考慮せずに AirTag のような製品を発売するのはまったく非常識だとしつつ、今回の調査結果は Apple が実装したストーキング防止機能がようやく機能を始めたことを示すものだと指摘する。ストーキングは大きな問題だが、証拠を示すことが困難なことも多い。Galperin 氏は AirTag が警察に提出できる動かぬ証拠となっていくことを期待しているようだ。