相場展望4月4日号 日経平均28,000円台キープできず、外資系短期筋が売り転換 小型・新興株に潮流の流れが向かうか?

2022年4月4日 09:09

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/31、NYダウ▲550ドル安、34,678ドル(日経新聞)
  ・3月後半以降の急ピッチな上昇を受け、月末と四半期末が重なり、相場上昇を牽引していた消費関連やハイテク株の下げが目立ち、NYダウは取引終了にかけて下げ幅を広げる展開となった。
  ・中国の上海市は4/1から西部地区を対象に都市封鎖を実施することから、中国の景気減速し世界経済に悪影響を及ぼすとの見方が強まった。中国関連銘柄と位置づけられる航空のボーイングや、スリーエムが売られた。
  ・ウクライナ情勢の長期化観測も伝わり、投資家心理の重荷になった。
  ・3月のNYダウは+785ドル高(+2.3%)となり月間では2021年12月以来3カ月ぶり、3月のナスダックは+3.4%高となった。

【前回は】相場展望 3月31日号 5月の米FRB利上げ+0.5%で冷や水も 日銀は「円安容認」、国民生活苦どうする?

 2)4/01、NYダウ+139ドル高、34,818ドル(日経新聞より抜粋
  ・朝方発表の3月雇用統計が労働市場の回復を示し、消費関連が買い優勢となった。
  ・新たな四半期に入り、新規資金が流入しやすいとの見方から、取引終了にかけ買いが強まる展開となった。
  ・労働参加率が上昇する中、失業率は2月の3.8%から3月は3.6%と改善し、市場予想3.7%からも良くなった。
  ・取引終了にかけて上げ幅を広げる銘柄もあり、「新たな四半期を迎えて、株式市場に投資資金が流入するとの期待が強い」との声があった。
  ・長短金利が逆転し、利ざや縮小の観測から金融株は売られた。

●2.米国株:長短金利が「逆転が明確」となり、株式市場の流れの変化に注目したい

 1)米連邦制度理事会(FRB)による金融引き締め観測を背景に、2年債と5年債の利回りが10年債利回りを上回る「逆イールド」(長短金利の逆転)の状態になった。     
   4/1 10年債利回り 2.389%
      2年債利回り 2.463
      5年債利回り 2.565

 2)長短金利の逆転が、株式市場に影響を与える可能性があり、今後の市場動向の変化に注目したい。

●3.米、過去最大の石油備蓄の大量放出、高騰対策で1.8億バレル規模(時事通信)

  1)日量100万バレルを今後6カ月放出。(ブルームバーグ)
  2)目的は、(1)高騰するガソリン価格、(2)ロシアのウクライナ侵攻を受けた供給不足に対応。

●4.OPECプラス、従来の小幅増産を維持、米欧の追加増産要請に応じず(毎日新聞)

●5.ロシアvsウクライナ関連

 1)ロシア軍事作戦縮小は見えず、英「首都キーウ72時間以内に激戦か」(FNN)
  ・首都キーウ近郊などで、ロシア軍からの攻撃が依然、続いている。
  ・イタリアのドラギ首相は、プーチン大統領と電話会談した。プーチン大統領は、「停戦の条件にはまだ成熟していない。ウクライナ大統領との会談の時期は尚早だ」と述べた。 

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/31、上海総合▲14安、3,252(亜州リサーチより抜粋
  ・中国景況感の悪化が嫌気される流れとなった。
  ・朝方、中国国家統計局から公表された今年3月の製造業PMIが49.5となり、市場予想49.8や前月実績50.3に届かなかった。節目の50を5カ月ぶりの割り込む中、中国景気の鈍化懸念が強まった。
  ・米国の対中国圧力も警戒。米証券取引委員会(SEC)は3/30、「外国企業説明責任法(HFCAAI)」抵触する上場企業の暫定リストに百度(バイドゥ)など5社を追加した。
  ・最も下値は限定的。
  ・中国政府の経済対策への期待感が相場をした支えしている。
  ・中国人民銀行は3/30、金融政策の規模を拡大するなど一段の経済支援もしていく方針を表明した。人民銀行は、前日に続き厚めの資金を市中に供給した。
  ・業種別では、ITハイテクの下落が目立ち、非鉄が安く、自動車も冴えなかった。反面、不動産はしっかり、銀行・保険は物色され、エネルギーが買われた。

 2)4/01、上海総合+30高、3,282(亜州リサーチより抜粋
  ・中国政府の経済対策への期待感が相場を支える流れとなった。
  ・景況感指数が悪化する中、政府当局は景気テコ入れ策を強めるとの見方が伝わった。
  ・国営テレビは3/31、中国政府は経済安定化の早期導入方針を示した、と伝えた。
  ・前日発表の3月製造業PMIは49.5となり、市場予想の49.8以上に悪化した。景況判断の分かれ目となる50を5カ月ぶりに割り込んでいる。
  ・上海総合は朝方、安く始まったものの、中盤から上げ足を速め、ほぼ高値引けした。
  ・業種別では、運輸の上げが目立ち、消費関連もしっかり、不動産も高かった。反面、医薬品は安く、エネルギー・インフラ関連が売られた。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/31、日経平均▲205円安、27,821円(日経新聞より抜粋
  ・朝方は、前日の米株安を受けて、安く始まり下げ幅は一時▲260円を超えた。
  ・その後、米政権がインフレ対策で石油備蓄の放出を検討しているとの報道が流れ、日経平均は下げ渋り、上昇に転じる場面もあった。
  ・幅広い銘柄に利益確定売りが出たが、市場では「米長期金利の上昇が一服しているうえ、需給イベントを通過したタイミングで、大型株からマザーズ株など小型株に物色の矛先を移す動きが見られる」との指摘があった。
  ・中国の経済指標が発表されたのをきっかけに、中国景気の減速に対する警戒感が
  ・4/1に、日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)が公表されるほか、日本時間3/31夜に米国で連邦制度理事会(FRB)が重視する物価指標の2月個人消費支出(PCE)の発表を控える。そのことから午後にかけて、徐々に手控えムードが強まった。
  ・3月の日経平均は月間で+1,294円(+4.9%)上昇した。上げ幅は2021年9月以来の大きさだった。
  ・リクルートが大幅下落、野村・三井住友トラの下落も目立った。一方、郵船・商船三井など海運株が大幅上昇、東エレクも高かった。

 2)4/01、日経平均▲155円安、27,665円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株安や期初の需給要因で値がさ株に利益確定売りが優勢、下げ幅一時▲400円を超えたが、円安が進行し次第に押し目買いが入って下げ渋った。
  ・日銀が発表した3月短観で、大企業の製造業の先行き業況判断指数(DI)は一段と悪化する見通しとなったことも、投資家心理を弱気に傾けた。
  ・3/9を底に相場が急ピッチで戻ったため、「新運用年度入りに伴い国内機関投資家が含み益のある株式を売却し、早々に利益確保しようとして『売りを出した』」との指摘があった。売り一巡後に、下げが縮小した。
  ・原油先物相場が節目の100ドルを一時下回ったことも、投資家心理の支えとなった。
  ・さらに、為替も一時122円台後半まで円安ドル高になるなど、輸出採算の改善が意識され輸出関連株の一角で下げ幅を縮めた。
  ・郵船・商船三井・川崎汽の海運株が大幅安、塩野義・アステラスも下落した。反面、任天堂・第一生命・三越伊勢丹が高かった。

●2.日本株:日経平均は28,000円台をキープできず、3/9底から牽引してきた短期筋は売り逃げ、新たな潮流変化に注目したい

 1)日経平均は3/9底~3/29まで+3,535円高(+14.3%)と大幅高。
  ・3/09 24,717円 ⇒ 3/29 28,252円  +3,535円高
  ・株式先物を通じて日経平均を牽引してきたのは、バークレイズ&みずほ。

 2)バークレイズは売り転換し、日経平均は下落し28,000円台をキープできず。
  ・バークレイズの先物手口買残高の推移
    3/25 121,071枚 ⇒ 4/01 83,844枚  ▲37,227枚売り 

 3)外資系手口買残高合計からは、もう少し売り圧力が残ると見る。
  ・2/03 88,775枚 ⇒ 3/25 166,716枚 ⇒ 4/01 95,990枚
  ・相場を牽引してきたバークレイズの先物買残は、まだ売り圧力があると見える。
    2/10 51,209枚と比較すると、4/01 83,844枚はまだ売り切っていない。

 4)3月後半まで大きく売られてきた小型・新興株のマザーズが、上値追いのイメージとを見せていることは、相場物色の流れに変化が生じている兆候の現われと思われる。新たな期となり、円安と原油・資源の高進やインフレの高騰が予想されるので相場の潮流変化に注目したい。

●3.企業動向

 1)日清食品  日本初「食べられる培養肉」に成功、「培養ステーキ」に一歩(FNN)

●4.日銀の強い積極的な緩和姿勢を受けて円安ドル高が122円台前半に進む(DZHフィナンシャル)

●5.JETRO調査、ウクライナ侵攻で企業の99%が「悪影響を懸念」(朝日新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4452 花王     業績堅調。
 ・6141 DGM森精機 業績堅調。
 ・6890 フェローテク 業績好調。

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