ロシアのウクライナ侵攻でニッケル高騰! EV車価格にも大きな影響が

2022年3月31日 15:05

 ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1カ月以上経過したが、ニッケルは供給懸念から価格が急上昇している。この影響で、テスラも日本を含む世界各国で新車価格を値上げしたほか、安さが売りの中国製EV大手BYDも値上げに方向転換した。

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 ヨーロッパで始まった脱炭素運動はあっという間に日本でも広がりを見せ、EV攻勢に拍車をかけ始めていた。だがロシアがウクライナ侵攻により、ニッケル市場は不安定となる。

 普段なら1日の値動きが数百ドル程度というニッケルが、3月8日には前日から大きく値を上げ、わずか数分で3万ドル急騰する異常事態となった。

 ニッケルはEV電池に不可欠な素材だ。高騰すると、EV車価格のかなりのウェイトを占めるバッテリー価格に、大きな影響を与える。テスラとBYDは耐えられなくなり、値上げしたわけだ。

 ただ、ニッケルを使用した製品ではステンレスもある。このステンレスも、細かい部品がエンジン本体、駆動装置、制御装置、安全装置などに多く使われている。ワイパーのゴムを挟んでいるシルバーの金属も、ステンレスだ。

 ということは、ステンレスが高騰すれば、当然EV車だけでなく内燃機関のガソリン車も高くなることも覚悟しなければならないだろう。だがEV車は、ガソリンやディーゼルで走るクルマよりはるかにニッケルに頼っているため、各メーカーは厳しい選択に迫られるはずだ。

 もちろん、EV車だけでなくHV車も当然厳しい状況に置かれる。特にトヨタは、バイポーラ型ニッケル水素バッテリーを新型アクアはじめ、数種類のハイブリッド車に搭載している。今までのニッケル水素バッテリーより、コストを抑えられエネルギー密度の向上が見込めることから注目されたが、この状況下では逆風と言えるだろう。

 ニッケル高騰で、クルマの製造コストが上がり、EV車やHV車の販売価格を上げなければ、メーカーは厳しい。このままの状況が長期化すれば、EV車やHV車は高根の花となってしまうのであろうか。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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