【どう見るこの相場】超弱気の日経225構成25銘柄の巻き戻しは「谷深ければ山高し」の前触れかアプローチ余地

2022年3月15日 09:34

【日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部】

 米国市場では高値から10%以上下落すると調整局面入り、20%以上下落すると弱気相場(ベアマーケット)入りとみなすそうである。すでにダウ工業株30種平均(NYダウ)は、今年3月7日の797ドル安の今年最大の下げで今年1月4日につけた史上最高値から10%以上下げて調整局面入り、ナスダック総合株価指数は、昨年11月19日につけた史上最高値から20%以上下げ、ベアマーケット入りと判定されている。わが日経平均株価も、今年3月9日の取引時間中に2万4681円と1年4カ月ぶりの安値へ売られ、昨年9月の戻り高値3万795円から19.8%の下落率とベアマーケット入り寸前となった。

 しかしである。そんな相場アノマリーを承知のうえで、どこかに抜け道がないかの探るのが、投資家魂というものだろう。相場格言の「人の行く裏に道あり花の山」の転んでもただでは起きない心意気である。大荒れ相場のなかで海運株や石油株、非鉄株などが逆行高しているのも、そうした投資家の反骨マインドのターゲットになっているからに違いない。

 日経平均株価が、前日9日の1年4カ月ぶりの安値から972円高と急騰した前週10日も、そうした投資家が群れ集った一日となった。UAE(アラブ首長国連邦)が原油増産意向を示したとの報道で、原油先物(WTI)価格が3月7日につけた1バーレル=130.50ドルから一時103.63ドルへ下落して上昇が一服し、資源価格上昇によるインフレ・景気悪化懸念が和らぎ、さらにウクライナがNATO(北大西洋条約機構)加盟を断念と伝わってロシアとウクライナとの間の停戦交渉が進展するとして地政学リスクが後退することに素早く飛び乗った結果である。

 小さな変化を捉えて機敏に対処するのは必勝法の定法だが、得てして勝手読みに過ぎず往々にして空振りに終わることはよくある。案の定、前週末11日は、停戦交渉は平行線に終わってウクライナの戦況はさらに深刻の度を増し、また原油増産方針を示したUAEも単独増産には否定発言をしたことなどから日経平均株価は、527円安と急落し、前日急騰幅の5割強を吐き出し、同じく米国市場でもNYダウが229ドル安、今週15日、16日に開催予定のFOMC(公開市場委員会)で政策金利の引き上げられるのを先取って長期金利が高止まりしてグロース株が売られてナスダック総合指数も2.2%安、SOX(フィラデルフィア半導体株指数)も2.08%安となり、WTI価格も3.31ドル高と3日ぶりに反発した。

 今週の週明けも、ウクライナ情勢や資源価格動向やFOMC次第でダメ押しは覚悟しなくてはならない。しかし、「花の山」を目指す投資家が、それですごすごと尾っぽを巻くとは思えない。10日の昨年来安値からの巻き戻しが、「谷深ければ山高し」の中間反騰、本格反騰ヘの助走なのかどうか下値を冷静に見極め、引き続き抜け道、裏道へ虎視眈々となるはずである。

 個別銘柄でも、同じ展開が想定できる銘柄がある。日経平均株価とともに前週9日に昨年来安値を更新して翌9日に急反発した日経平均株価採用の主力銘柄である。安値更新は29銘柄に達し、うちキリンホールディングス<2503>(東1)など4銘柄は、10日の反発のあと前週末11日に再び昨年来安値を更新したが、残り25銘柄は続伸するか小幅安にとどまった。いずれも昨年来高値からの下落率が、30%~50%に達し超弱気銘柄である。ただPER、PBR、配当利回りからは売られ過ぎ水準にあり、この昨年来安値から巻き戻しが中間反騰、本格反騰の先触れとなるか、週明けのダメ押し場面が注目されることになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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