イトーキ、構造改革プロジェクトにより通期営業利益は前年比141%と大幅増 来期営業利益は30億円を目指す
2022年3月2日 08:05
連結損益計算書サマリー
森谷仁昭氏:みなさま、本日はご参加いただきまして誠にありがとうございます。2021年12月期の決算内容をご報告いたします。
連結損益計算書のサマリーです。総括すると、構造改革プロジェクトによる収益力向上が軌道に乗り、当初の業績予想をすべて上回りました。売上高は前年比でほぼ横ばいですが、営業利益は大幅に増益となりました。プロジェクトの一環で特別利益を計上したことから、前向きな減損処理も吸収し、相応の利益を残せました。
2021年12月期予想は上方修正前の予想値です。高収益案件の見極めを想定し、当初は売上高で減収を予想していました。結果的には若干の減収となり、1,158億3,900万円とほぼ前年並みの売上高を確保できました。
売上総利益については、売上減の影響で金額的には減少していますが、単体の売上総利益率は33.5パーセントから35.2パーセントに向上しています。こちらについては後ほどご説明します。
販管費は、物流費の抑制、支出の抑制、お客さまからいただく収受の改善、家賃、その他の削減により大きく改善しました。その結果、営業利益は25億3,600万円で、予想比・前年比のいずれも40パーセント超の増益となりました。営業利益率は2.2パーセントと、ほぼ予想通りの改善です。
特別損益をかなり計上していますが、こちらについては後ほどご説明します。それらも含めて、最終利益の当期純利益は11億6,600万円を確保することができました。全体として当初の予想を上回り、大幅な増益を達成し、この時点でROEは2.6パーセントです。
連結貸借対照表およびキャッシュ・フロー計算書サマリー
財政状態をご説明します。資産効率化の推進や減損をほぼ出し切ったことにより、資産を大きく圧縮できました。資産合計は11億9,700万円圧縮しています。主に不動産や有価証券の売却によるものです。
負債は借入を返済し、純資産合計は8億8,600万円増加しました。自己資本比率は43パーセント程度です。
キャッシュ・フローですが、フリーキャッシュ・フローが16億400万円です。期末の棚卸資産の関係で、前年に比べると少なく見えています。現金及び現金同等物は9億円圧縮し、残高は157億9,700万円です。圧縮した後でも引き続き十分な量を確保できています。
セグメントの状況(ワークプレイス事業)
3つのセグメント別に業績をご説明します。まず、主力事業のワークプレイス事業です。当初の予想と比べると、ワークプレイス構築へのお客さまの投資が増加してきたことや、在宅勤務用の家具などに支えられ、若干の減収にとどまりました。
構造改革プロジェクトの一環で売値の改善に注力したため、利益率の改善、物流費の抑制などの販管費の圧縮により、営業利益は52.9パーセントの増益となりました。
セグメントの状況(設備機器・パブリック事業)
今後さらに拡大を期待している設備機器・パブリック事業です。物流設備、特殊扉などが好調を維持し、研究施設機器やプラント機器等を取り扱うダルトンも堅調に推移しました。原価高の影響で利益率は下がっていますが、基本的には順調です。
セグメントの状況(IT・シェアリング事業)
売上で占めるシェアは小さいですが、今後の成長分野であるIT・シェアリング事業です。オフィス空間のシェア事業やシステムの検証事業などが好調です。
GlobalTreehouseの解散について(IT・シェアリング事業)
GlobalTreehouseは、2017年にメンバーシップ制の事業として創業しました。会員企業のみなさまから会費をいただき、「イノベーション」「マインドフィットネス」のプログラムなどを提供してきました。
各方面から極めて高い評価をいただき、SDGsの観点からも期待の事業でしたが、コロナの影響により、コスト負担を考慮し、断腸の思いで収束することとしました。
会員企業のみなさまからも非常に惜しまれており、この事業の精神は活かしていきたいですが、ビジネスとしてはいったん清算し、翌期以降は連結収益への影響はなくなります。
営業利益の増減要因(前年度からの分析)
営業利益の前年比の増減要因です。去年の営業利益は17億9,800万円でした。今年は売上が減少したため、売上総利益率が変わらなかったと考えると、1億3,400万円の減益となります。
一方で、資材の高騰による原価増がありました。ただし、そちらについてはカタログ価格の改定、販売価格の適正化、適正な価格で買っていただくなど、売り方の改善効果がとても大きく、原価増をほぼ打ち消しています。加えて、販管費で主に物流費が削減できましたので、結果として25億3,600万円に増加しました。
経常利益から当期純利益までの増減要因
特別損益などの内訳です。経常利益は24億3,700万円です。特別利益としては固定資産、有価証券などの売却を進めました。一方で特別損失ですが、各種固定資産について思い切った減損処理をおこないました。
具体的にはGlobalTreehouse、中国のNovo Workstyle、イトーキ単体のシステム関係の資産などを前向きに考えて減損処理をしたため、翌期以降に利益改善効果が出てきます。
イトーキグループ各社の営業利益における構成
グループ各社の営業利益の構成です。スライドのとおり、ダルトンの貢献が大きいです。課題としては、1つは中国事業、もう1つはGlobalTreehouseですが、中国についてはリストラを実行中で、GlobalTreehouseは事業を清算することで、いずれも今後の影響は極小化していきます。
株主還元(2021年12月期 配当予想)
株主還元については、期初の予想から2円増配の15円と予想しています。配当性向は58パーセント程度になりますが、このようなかたちで株主のみなさまの期待に応えていきたいと思います。
2022年12月期 業績予想
2022年12月期の業績予想です。構造改革の継続的な推進によって収益力が向上することを前提に、少し堅めですが、増収増益を予想しています。
中期経営計画ビジョン
平井嘉朗氏:今後の戦略についてご説明させていただきます。まずは、中期経営計画の進捗についてです。昨年からスタートしている「RISE ITOKI 2023」は今年で2年目を迎えています。目指す姿は「ポストコロナの『働く環境』づくりをリードする」「強靭な体質の『高収益企業』になる」の2つです。
来年度を最終年度としており、目標はスライドに記載のとおりです。収益力向上として、営業利益60億円が最重要指標であると考えています。
中期経営計画の進捗
中期経営計画の1年目である2021年は、収益力の向上を第一に掲げ、もともと減収を計画していました。結果として、営業利益は想定以上に改善し、構造改革プロジェクトを通じて、1年目は好スタートを切ることができたと思っています。
構造改革プロジェクトの成果
構造改革プロジェクトは全部で6つあり、その中から3つをご紹介したいと思います。1つ目は、営業改革に関する取り組みです。低掛け率での販売、あるいは提供価値を毀損するような値引きの抑制など、営業担当部門の意識改革を行いました。その成果が営業利益率の改善という結果につながったと思っています。
また、単なるレイアウトプランではなく、働き方そのものの見直しなど、イトーキにコンサルティング的なサポートが求められるような状況が増えてきました。今まで培ってきたノウハウを活かし、さまざまなお客さまの新しい働き方を支援してきましたので、そのあたりの強化・拡大を実行できたと思っています。
また、配送料・デザイン費などのオペレーション費用をお客さまからいただくようにしたことが、収益に貢献しています。
2つ目は、生産・供給に関する取り組みです。通称APセンターと呼んでいるアセンブルプロセスセンターがすでに着工しており、年内の完成、2023年からの稼働を目指しています。
こちらの狙いは2つあり、1つは、オフィス商品のアセンブル生産方式の強化です。それにより、さらなる原価率低減を目指していきます。もう1つは、物流市場における需要が急増しているイトーキ独自の商品である立体自動倉庫システム「システマストリーマー」の生産能力を向上させることで、さらなる受注の拡大を目指していきます。この2つが、APセンターの大きな狙いです。
構造改革プロジェクトの3つ目は、資産効率化に関する取り組みです。株式の売却、京橋の「SYNQA」の2フロアの返却、川越の工場兼倉庫の売却などで大きな成果をもたらしたと思っています。
【ワークプレイス事業】2022年度の業績予想および事業方針
今年度の事業計画についてご説明します。まずは、ワークプレイス事業です。国内市場の環境は、コロナ禍の影響により働き方改革がかなり加速しました。多様な働き方に伴い、各企業がオフィス戦略構築の必要に迫られてきたということです。あわせて、在宅勤務の需要も高まってきました。
一方、海外の市場環境ですが、中国、ASEANはコロナ禍で大変な状況になっているものの、徐々に回復基調にあると見ています。
スライド下部に記載の事業方針のポイントについてご説明します。国内では、構造改革の実行による高収益化について、中計の2年目にあたる今年もさらに加速していきたいと思っています。
ブランディング戦略の強化による提供価値の最大化も進めていきます。まずは、今年4月に開催される「オルガテック東京2022」に出展します。これまでとは違う「新しいイトーキ」をお見せできると考えています。
昨年からの新たな取り組みであるDX推進については、特にデジタルマーケティングの推進により、今年もますます体制を強化していきます。オンラインセミナーのコンテンツを強化するなど、戦略的に投資していきたいと思っています。
「Smart Officeコンセプト」は今後、当社の国内のワークプレイス事業の柱にしていくつもりです。
海外については、特に中国において、コストを踏まえたボトムラインを意識した経営を徹底していきたいと考えています。
次なる成長に向けた新収益の掘り起こしも、同時に進めていきます。
Smart Officeコンセプトに基づく新たな価値の提案①
先ほどお話しした「Smart Officeコンセプト」についてご説明します。こちらを事業の中心に据えて、これから展開していきます。「明日の『働く』を、デザインする。」をミッションとする当社が提唱する「ITOKI Smart Office」は、「イトーキの考えるポストコロナの働く環境のこと」としています。
スライドに記載のあるとおり、「Tech×Design で実現する、創造的に、健康的に、いつでもどこでも協働できる、働く環境のこと。」というコンセプトを掲げています。
今までのオフィスに対する、固定的な場という一般的な定義を超え、これからのポストコロナにおける新しい働く環境を「ITOKI Smart Office」として社会に提案していきます。
Smart Officeコンセプトに基づく新たな価値の提案②
具体的に何をご提案していくのかというと、「インテリア」「データサービス」「ソリューション」の3つと定義しています。それぞれの価値を組み合わせることで、個別のお客さまに最適な「働く」をデザインします。
スライド左上に「ITOKIが提供するモノ」「商品ラインナップ」と記載されていますが、商品だけではなく、これからはサービスや「コト」についてもフリーではなく、しっかりと収益を上げていく意識を表すために、あえてこれらを「商品」「モノ」と呼ぶようにしています。
Smart Officeコンセプトに基づく新たな価値の提案③
それぞれの中身についてご説明します。スライドの図のインテリアのところには、今のメイン事業である家具や工事を中心としたオフィス空間の構築が入ります。これは「Group A」にあたります。
ICTと家具との融合商品は「Group B」です。ICTと家具を融合させたまったく新しい商品であり、分散と集合のコミュニケーションをつなぐものとしています。「オルガテック東京2022」において、この商品を世の中に提示できるように現在開発中です。そのようなものを「Group B」と呼んでいます。「Group C」は、Web事業で開発しているテレワーク向け家具などが該当します。
図の左下のデータサービスは「Group D」で、ここには、先日発売を開始した「Performance Trail」や「Workers Trail」などが含まれます。それぞれをデータベースにして「働く」を「見える化」し、サービスとして提供していきます。
右下のソリューションには、ABWを含むワークスタイルコンサルティング、空間デザイン、プロジェクトマネジメントなどが入ります。これまで培ってきたノウハウを活かし、個別のお客さまにとって最適な「働く」をデザインしていきたいと思います。
Smart Officeコンセプトの推進に必須なDXの高度化
「Smart Officeコンセプト」の、特にデータサービスのところになくてはならないものは、DXの高度化だと思っており、ポイントは2つあります。
1つ目は、先端技術を駆使してさまざまな情報を可視化し、お客さまや社会への新たな価値提供につなげていきたいということです。
2つ目は、まずは当社自身が可視化やデータ統合基盤の構築を実現し、自ら実践をすることで得られた知見を、お客さまの課題解決にどんどんつなげていきたいと考えています。
【ワークプレイス事業】国内オフィス事業~Group D~①
「グループD」のデータサービスにおける商品を2つご紹介します。1つ目は「Performance Trail」というアンケートサービスです。独自のロジックで個人と組織のパフォーマンスを可視化して、現場主導で活用できる改善策まで提供します。
こちらは、昨年11月にサービスを開始しました。既存のワークエンゲージメントや満足度よりも業績に近い指標であり、経営者の方々にもご理解いただきやすいサービスで、徐々に問い合わせが増えてきています。ぜひご注目ください。
【ワークプレイス事業】国内オフィス事業~Group D~②
2つ目は「Workers Trail」です。IoTセンサーを活用して、当社が提案する働き方に対する「働く」の「見える化」ができるアプリケーションとして、昨年11月にリリースしました。
誰がどこにいるのかが一目でわかるワーカーズマップや、オフィスの座席を予約できるホテリング機能、オフィス内での活動を「見える化」できるアクティビティ分析機能などを搭載し、これからの多様な働き方を支える重要なツールとして位置付けています。
まずは「ITOKI TOKYO XORK」に実装することから始めて、そこで得られた知見を活かしながら、お客さまごとの最適な課題解決に役立てていきたいと思っています。
【ワークプレイス事業】国内オフィス事業~Group A~①
インテリア領域の「Group A」についても、いくつかご紹介します。
コロナ禍で「集合」と「分散」のいわばハイブリッドな働き方になり、最も利用頻度が上がったのがWeb会議です。しかし、そこには騒音や音漏れ、あるいは音の反響に関わる非常に大きな課題があり、相談が非常に増えてきています。
そのようなニーズに対して、これまでは、訴求力のある商品を提供できていなかったと反省しています。今回は、スライドに示しているようなブースのラインナップを一気に拡充しています。
【ワークプレイス事業】国内オフィス事業~Group A~②
ピクシーダストテクノロジーズとのオフィス商品の共同開発についてです。先ほどもお伝えしたとおり、オフィス内でのWeb会議の増加が顕著です。それに伴い、ファシリティのあり方も、大きな部屋で複数人を集める従来の方式から、狭いところで少人数が利用できる方式にシフトしています。
このような時代の変化を受け、当社では遮音と吸音を組み合わせて、狭い空間における音環境の快適性を向上させることを追求してきました。
当社が得意とするオフィスにおける場づくりの知見とテクノロジー、および音環境をコントロールする独自のノウハウを持つピクシーダストテクノロジーズの知見や技術を融合させることにより、課題解決の可能性を模索すべく、共同開発の実施に着地しました。
革新的な吸音材である「iwasemiTM」を搭載したオフィス商品を共同開発することにより、オフィスの意匠性を高めながら、快適な音環境を実現することを目指しています。今後の展開に、ぜひご期待いただきたいと思います。
【ワークプレイス事業】WEB事業~Group C~
テレワーク家具などが中心の「Group C」にあたる、Web事業についてです。テレワークや在宅勤務の普及に伴い、在宅向けのチェアの販売台数が大幅に増加しています。
当社も新たに「ITOKI HOME」をブランドとして立ち上げ、「家ではたらく」「家でまなぶ」という暮らしの領域のさらなる拡大を図ります。
【ワークプレイス事業】海外事業
海外事業についてです。特に中国については、これまで生産工場を持っていましたが、今後は製造を行わず、アッセンブルのみに移行します。
ASEANでは、シンガポールの内装工事会社であるTarkusを軸に、隣国へ拡大展開していきます。まずはマレーシアからスタートします。
北米については、パートナー企業との協業を推進しています。昨年シカゴで開催された「NeoCon2021」には、KOTOBUKI Seating Internationalと共同で出展しています。
スライドのグラフは、中国事業の業績の推移です。とにかく中国の立て直しが急務ですので、今年で負の遺産をしっかり出し切り、来年のV字回復を目指す計画です。
【設備機器・パブリック事業】2022年度の業績予想および事業方針
設備機器・パブリック事業についてです。物流施設・公共施設・サイネージ・原子力・研究施設などの各事業は、独自性と専門性の高い商品や技術により、他社との差別化を図っています。今後はいずれの分野においても、技術力の先進性をさらに高め、社会インフラの利便性や完全性の向上を目指していきます。
その中でも物流施設事業に最も期待しています。冒頭でも触れましたが、APセンターの建設を進めており、来年度の期初から本格稼働します。生産能力を大きく高めていくことで、市場拡大の機会をしっかり捉えていきたいと考えています。
【設備機器・パブリック事業】物流施設事業
特に大きな伸びが期待できる事業を3つご紹介します。1つ目は、物流施設事業です。近年の人手不足解消やEC小売市場の規模拡大などにより、物流施設に対する投資が活況を呈しています。この2年間のコロナ禍によってこの流れはさらに加速しています。
このような市場の背景があるため、豊富な商談を保有できている状況です。また、物流量の拡大だけでなく、これまでになかった多様な市場のニーズも出てきました。このようなニーズにも応えるべく、生産体制の強化や物流量への対応強化とともに、新たな機能の開発も強化していきます。
【設備機器・パブリック事業】公共施設事業
2つ目は公共施設事業です。スライドの写真は、名古屋市国際展示場にある稼働間近の施工現場です。高さ13メートルでありながら、すべて手動で操作可能なオペラブルウォールを製作できるのは当社だけですので、競争力が非常に高い商品です。
今後も、大阪・長崎・和歌山などの国内でのIR展開や、コンベンション施設などのMICE計画が目白押しです。今後数年にわたって、とても有望な事業だと捉えています。
【設備機器・パブリック事業】研究施設事業
3つ目は研究施設事業です。施設機器分野と機械装置分野に分かれていますが、特に施設機器分野においては感染症対策関連製品の売上増加を下支えにして、官民問わず売上が伸長しています。
また、首都圏および関西圏で新たに計画されているサイエンスパークへの進出を検討している企業から、大型の移転プロジェクトをすでに数多く受注しています。これにより、今期以降の連結業績への貢献に大きく期待しています。
施設機器分野と機械装置分野をあわせた全体の業績については、スライドのグラフに記載のとおりです。2022年度は過去最高の売上となる見通しです。
営業利益については、政策的な先行投資を行う関係で昨年を下回りますが、来年にはさらに売上を伸長させ、営業利益とともに過去最高となる計画です。それを裏付けるだけの大型商談をすでに受注していますので、ぜひこの分野もご期待いただければと思います。
【IT・シェアリング事業】2022年度の業績予想および事業方針
IT・シェアリング事業についてです。イトーキ唯一のIT事業会社である新日本システックの業績は堅調に推移しています。特にシステム検証事業が第2の柱としてしっかりと立ち上がりつつあるため、今後ますます成長を見込んでいます。
また、シェアリング事業を担う会社としてはイトーキシェアードバリューがあります。マンスリー開発オフィスや「@サブスク」などのユニークかつ地球環境への配慮をコンセプトとする独自の事業展開で高い収益力を実現しています。今後も、環境負荷の低減という大きい命題に対してさらなる進化を目指していきます。
イトーキのビジョン・ミッション
サステナビリティへの取り組みについてです。イトーキのビジョンは「人も活き活き、地球も生き生き」、ミッションは「明日の『働く』を、デザインする。」です。これらをよりどころとして事業を展開しています。
これまでの歩みとサステナビリティ
これまでの歩みとサステナビリティについて少し振り返っておきます。当社の企業活動の根底にあるのは、創業者である伊藤喜十郎の旺盛な改革精神です。「世の中に新しくて便利な物を提供し、人々の生活をより豊かにしていきたい」という思いが、オフィス環境の改善や効率化という事業内容につながっていきました。
1990年頃からは環境配慮にも注力し、1999年にはユニバーサルデザインとエコデザインを融合させた「Ud&Eco Style」を提唱しました。また、2007年にはこの考え方に基づいて、社会進出が進む女性の体格に合わせたチェア「cassio」を発売しました。
Ecoソリューションの開始
この流れの中で、2010年には日本全国の森林活用につながるソリューションである「Econifa」を開始し、翌年にはカーボン・オフセット事業も開始しました。
日本橋XORKの開設
2018年には日本橋に「ITOKI TOKYO XORK」を開設しました。オフィス内に中階段を設け、上下昇降デスクを多数配置し、社員の心身を健全に保つウェルビーイングにも配慮しています。
スライド右下の写真のように、私自身も社長室ではほぼ100パーセント立って仕事をしています。このような取り組みの結果「WELL Building Standard」のゴールドレベルを取得することができました。
イトーキのマテリアリティ/重点テーマ
当社の重要課題・マテリアリティについてです。スライドに記載の内容は、昨年発表した中期経営計画の中で表明したものです。
ビジネスを通じたSDGsへの貢献と利益獲得の両立のため、このようなことを実践していきます。これまでのスライドの中にも取り組み内容とSDGsとの関連性がわかりやすいようにマークを表示してあります。
特に重視するSDGs①
特に重視するSDGsは2つあります。1つ目は働き方改革です。SDGsの「働きがいも
経済成長も」に対応する施策です。
働き方改革が迫られている中、生産性を高めて誰もが働きやすい環境づくりを押し進めることが当社としての何よりの使命です。ここに該当するのが、先ほどお伝えしたスマートオフィスコンセプトの実現だと思っています。インテリア・データサービス・ソリューションの3領域を展開しながら、ABWを中心とした新たな働き方や新しいサービスの開発に挑戦していきます。
特に重視するSDGs②
2つ目は気候変動・循環型社会の実現です。SDGsの「つくる責任 つかう責任」に対応する施策です。
製造業として当然果たさなければならない使命であるCO2排出量の削減目標の策定や、環境配慮製品の開発を通じて社会に貢献していきます。CO2の排出量の削減については、2030年、2050年で長期目標を設定しました。
CO2排出量削減目標
2050年にはSCOPE1+2で100パーセント削減を目指します。そこから逆算して、2030年にはSCOPE1+2で50パーセント削減、SCOPE1から3で30パーセント削減を目指します。この目標のもと、これからも再エネ・省エネの改善を進めていきます。
環境配慮製品の開発
環境配慮製品の開発について、スライドには今年の新商品を2点掲載しました。左側の商品は「LINEA」です。背面から座面まで1枚のニットで編み上げられており、部品点数を減らすことにより環境負荷の低減を目指しています。また、ウレタンを使わず、しなやかな座り心地も実現しています。
右側の商品は国産材を活用した大型木製テーブル「silta」です。従来、重厚感を感じる50ミリの天板を作るためには、純粋な無垢材あるいは突き板張りしか選択肢はありませんでした。しかし、当社では通常の突き板の10倍厚い国産の栗材を活用しています。3ミリの厚みの天然木材を繊細に重ね合わせることにより、無垢材に近い風合いや木の温かみが感じられ、従来の欠点を克服した商品となっています。
社外からの評価(2022年2月現在)
社外からのサステナブルに関する評価については、スライドに記載のとおりです。今後も、攻めと守りのサステナビリティを展開していきます。
昨今、企業の生き残りを懸けた戦略の手段として環境問題が語られることもありますが、そもそも安心できる地球環境なくして、企業は存在できません。若い方々の価値観の変化にもしっかり向き合いながら、これからますますサステナブルな企業経営を展開していきたいと思っています。
すでにご案内のとおり、3月24日をもって社長を交代します。7年間の長きにわたり、みなさまから多大なるご支援をいただき、本当にありがとうございました。湊新社長をはじめとする新体制においても、これまで以上にご支援くださいますようお願い申し上げます。
本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。