【株式市場特集】業績を上方修正し割安水準に置かれた株主還元策発動銘柄に要注目

2022年2月15日 17:51

 業績を上方修正しながらまだ割安水準に置かれ、なおかつ株主還元策も発動した銘柄が要注目となるが、市況産業株にこうした銘柄が数多い。この見直しのキッカケになりそうなのが、日本銀行が連休前の10日に発表した今年1月の企業物価指数である。企業物価指数は、11カ月連続で前年同月を上回ったが、このうち1月の品目別国内企業物価で、伸び率が高かったのが木材・木製品の58.5%増に続き石油・石炭製品(34.3%増)、鉄鋼(28.1%増)、非鉄(26.5%増)と続き、関連株はいずれも今3月期業績を再三にわたり上方修正済みである。ウクライナを巡る地政学リスクは、「有事の戦略物資買い」として今後の加速要因となる可能性もある。

 市況産業株の代表といえるのが、今3月期業績を4回も上方修正し増配を繰り返した日本郵船<9101>(東1)と商船三井<9104>(東1)でPERは1倍台、年間配当利回りは11%~12%と全市場ベースの配当利回りランキングの第1位、2位にランクインしている。両社の業績修正は、前期業績を含めて1年6カ月にも及んでおり、業績相場は「天井一年半」の大相場が続いていることになり、追撃期待の市況産業株もどの程度の「天井相場」を期待できるか待ち伏せしてみる価値はありそうだ。

■小型株中心の木材関連株に鉄鋼関連では電炉株が多数派

 今年1月末から連休前の10日までに業績を上方修正した木材関連株は小型株がほとんどで、発表順に列挙するとセブン工業<7896>(東2)、OCHIホールディングス<3166>(東1)、ウッドワン<7898>(東1)、南海プライウッド<7887>(東2)、山大<7426>(JQS)、大建工業<7905>(東1)となり、PERはウッドワンが10倍台のほか残り5銘柄は3倍台から7倍台にとどまっている。このうち大建工は、3回目の業績上方修正で増配も2回目で年間配当利回りは4.31%に高まる。関連の木材機械の天龍製鋸<5945>(JQS)は、2回目の業績増額・増配でPERは7倍台で年間配当利回りは4.19%となる。石油株でもコスモエネルギーホールディングス<5021>(東1)は、今3月期業績を2回上方修正し増配予定で、PERは2倍台、年間配当利回りは4.2%と超割安である。

 鉄鋼関連では3回目の業績増額、再増配の高炉大手3社の日本製鉄<5401>(東1)、JFEホールディングス<5411>(東1)、神戸製鋼所<5406>(東1)に加えて3回目の上方修正、増配組も含まれる電炉株が多数派となる。これも発表順にあげると東京製鉄<5423>(東1)、山陽特殊製鋼<5481>(東1)、大和工業<5444>(東1)、大同特殊鋼<5741>(東1)、高砂鉄工<5458>(東2)、大平洋金属<5541>(東1)、日本冶金工業<5480>(東1)、三菱製鋼<5632>(東1)、丸一鋼管<5463>(東1)と続く。

■非鉄ではニッケル・亜鉛関連も注目され専門商社株が総合商社5社に追随

 非鉄株では、3回目の上方修正、増配の住友金属鉱山<5713>(東1)をメーンにUACJ<5741>(東1)、日本精鉱<5729>(東2)、日鉄鉱業<1515>(東1)、三井金属<5706>(東1)、東邦亜鉛<5707>(東1)などが上げられ、銅・ニッケル・亜鉛・金価格の上昇が業績と株価の押し上げ材料として期待される。

 資源関連の商社株では総合商社大手五社がリード役となるが、準大手や専門商社にも出遅れ上方修正株が多い。これも発表順に列挙すると双日<2768>(東1)、豊田通商<8015>(東1)、日鉄物産<9810>(東1)、佐藤商事<8065>(東1)、兼松<8020>(東1)、UEX<9888>(JQS)、アルコニックス<3036>(東1)、カメイ<8037>(東1)、阪和興業<8078>(東1)と続く。海運株では大手3社を今3月期業績を3回上方修正し再々増配した川崎近海汽船<9179>(東2)やNSユナイテッド海運<9110>(東1)、飯野海運<9119>(東1)などが追随しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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