自動車を国産技術で生産できる国

2022年2月9日 08:24

●自国技術だけで「自動車」を造れる国

 世界中で、自国の技術だけで「自動車」(ガソリンエンジン搭載の純粋な車。現状ではEV車は“自動車”とはカウント出来ない)を生産出来るのは、米国、ドイツ、日本だけだと言われる。

【こちらも】自動車メーカーの基礎体力

 イギリス、イタリヤ、フランスも、一部部品に外国に頼る部分があるので「純国産」に届かないが、「準国産」としての「まともな自動車の生産が可能な国」である。

 また、外国資本の傘下に入ったボルボやジャガーといったメーカー製の自動車は、過去蓄積した技術もあり、ぽっと出でまともな技術を持たない会社と比較すれば、れっきとした「自動車メーカー」であることは明白である。

●技術が未熟な国の車

 在日民数が非常に多い某国の製品も、本来愛国心があれば、たとえ性能的に劣っていても購入して貰える筈なのに、このメーカーは日本に進出したが彼等の同胞にも全く売れずに、撤退して行った。

 「自動車」なんて簡単に作れるものでは無い。

 昔、このH社と提携していた三菱がこの国から撤退する際に、本来なら日本に持ち帰るか廃棄処分するべき治具型具の類を、変な好意を示して残してやったせいで、「彼等が日本の技術に追いつくペースが10年以上縮まった」と、国内の他社の社長が激怒したとの話もある。

 あんな旧態然たるエンジンでも、彼等のレベルには垂涎の技術だった。「自動車」技術は、簡単に会得出来るものでは無いのだ。

●バイク百花繚乱の時代

 バイク好きの、古い世代の人達なら、1960年代の2輪メーカー乱立の記憶があるだろう。

 現在2輪メーカーは、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキしか生き残っていないが、当時は三菱も「シルバーピジョン」、スバルも「ラビット」を作っていたし、ダンプやパッカー等の特装車や飛行艇の新明和工業も「ポインター」を作っていた。

 タイヤのブリヂストンも「チャンピオン」を作っていたのだった。

 勿論、町工場規模のメーカーも参入し、当時、日本には283社ものメーカーが存在したそうだ。

●技術があっても

 三菱重工、中島飛行機、川西航空機、川崎航空機といった、戦時中の航空機産業を支えた優秀な技術を持ちながら、敗戦で「翼をもがれた」企業も多く2輪生産を手掛けていた。

 しかし、この中で現在も継続して2輪を生産しているのは、カワサキしか残っていないのが事実である。

 自動車やバイクは、生産技術と同時に、サービスネットワークを構築する必要があるからだ。

●家電製品とは異なることの認識を

 例えば、B社のトースターは、2003年に東京で設立されたクリエイティブとテクノロジーの会社の製品だが、すでに我が家にやって来ている。(写真参照)

 この様な家電製品等、特定分野の「1点突破」をすれば、市場で一定の評価を獲得して、成功を収めることができる製品と、自動車は大いに異なるのだ。

 2021年3月12日付「自動車メーカーの基礎体力」でも述べたが、開発現場のテストコースに設ける「悪路」ひとつを取っても、各社は相当な投資をして取り組んでいる。

 そして、蓄積した技術やノウハウは、想像を超える質と量がある。

 鴻海の創業者・郭台銘(テリー・ゴウ)氏が、社内会議で「わが社が電気自動車(EV)を作れないことがあるだろうか。EVはiPhoneに4つの車輪を付けたようなものじゃないか」と言い放った(2021年8月29日付日経)。

 この、新参を目論む企業の著名な代表者の様な考えでは、まともな「自動車」を造ることは不可能だ。

 アップルやソニーといった、その分野では最高レベルの技術を持った企業が、EV車に参入する意向を示しているが、人の命を預かる「自動車造り」はそんなに甘くは無いから、覚悟して取り組むべきだろう。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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