うっかり契約更新 期限に気づかず自動更新、経験「あり」4割
2022年2月4日 08:49
みずほ銀行のシステムトラブルが相次いでいるが、その原因はシステム構築の経緯から来るシステムのブラックボックス化のようだ。IT化やDXを実行して行く上で重要な前提となるのはドキュメント管理を徹底し業務構造をブラックボックス化させないことだ。現代社会は契約社会であり無数の契約で成り立っている。契約は法的な権利・義務を定義したものであるから、そのドキュメント管理のあり方が組織の業務のあり方に影響を与える。しかし、日本の企業・団体の契約書管理は十分なものとは言えないようだ。契約内容を十分把握せず、解約期限が到来しているにもかかわらず、これに気付かずに自動更新となってしまったケースが約4割存在し、その内の3分の2がそのまま料金を支払い続けてしまっているという調査結果が出た。
法務系IT企業のLegalForceが昨年12月に過去6カ月以内に契約関連業務を経験した企業担当者1000名を対象に「契約書管理に関する実態調査」を実施、1月23日にその結果レポートを公表している。これによれば、全社で保管している契約書件数について回答者の34.9%が「何件保管しているか知らない」と回答しており、従業員規模が500名以上の企業になるとその割合が上昇、1000名以上では51.9%と半数を超え、契約件数が多くなる大企業ほど管理体制が不十分なようだ。契約書の内容については、「全て把握している」との回答は13.5%のみで9割近くが契約内容について十分把握していない。
「解約期限に気づかず自動更新されていた経験があるか」という問いには38.4%が「経験あり」と回答している。「経験あり」と回答した者に、「その際の対応」を複数回答で答えてもらった結果では、「そのまま更新し、解約期間まで料金を支払い続けた」が66.3%と約3分の2で最も多く、次いで「途中解約し、解約金を払った」が27.7%、「交渉によって解約し、解約金は支払わなかった」20.1%、「その他」が2.9%となっている。この回答結果は契約の不十分な管理によって意図しないコストを支払っている可能性を示唆し、取引業者の再検討など合理的な業務遂行に悪影響を与えている可能性も暗示している。適切な契約書管理をするためにはデジタル化が求められるが、DX推進の上でも、まずは契約書などのドキュメント管理を徹底する必要がある。(編集担当:久保田雄城)