パチンコ店、コロナ禍での売上減に新規則機導入コスト 平均1200万円の赤字転落
2022年2月4日 08:49
コロナ禍でパチンコ業界も業績を大幅に悪化させたようだ。警察庁の統計によればパチンコ店は1995年の1万8244店をピークにその後減少の一途で2019年には1万件を割り込んでおり、パチンコ業の市場は長期的に縮小傾向だ。ギャンブル依存との関連で18年には遊技機規則の改正が行われ、定められた期限までに新規則機への入れ替えを行わなければならないが、新型コロナの影響によりこの経過措置期間が延長され、旧規則機の認定、検定の期限は22年1月末までとなった。長期的な衰退とコロナ禍での売上減に加え、この新機種への入れ替えが大きなコスト負担となっており、コロナ禍初年度の20年度にはパチンコホール経営企業は軒並み赤字転落となったようだ。
1月24日に矢野経済研究所が「パチンコホール経営企業の売上・利益動向調査」の結果レポートを公表しているが、これによれば、20年度のパチンコホール経営企業132社の決算平均は赤字に転落したようだ。20年度の売上高の平均は155億8800万円、前年度の209億4600万円と比べ25.6%の大幅な減少となっている。売上原価の構成比はここ数年85%以上の水準で推移しており、20年度も前年度の85.1%から0.5ポイント増加し85.6%となった。売上総利益(粗利)の平均は前年度から28.2%減少し22億4100万円だった。
粗利確保のために売上原価を19年の178億2500万円から20年度の133億4600万円と抑制するよう取り組んだものの、大幅な売上高の減少によって売上総利益の構成比は前年度から0.5ポイントの減少となっている。売上高の大幅な減少で原価圧縮にも限度があり厳しい経営状況がうかがえる。
20年度の販売管理費の平均は22億5300万円で前年度から14.6%減少しているものの、その構成比は前年度から1.9ポイント増加し14.5%となっている。販売管理費には遊技機の購入費用が含まれ、その構成比は長年10%を超えており経営を圧迫している。販売管理費の引き下げに取り組んだものの新規則機移行による費用で下げきれなかった模様だ。レポートは「21年度は新規則機移行が最終段階を迎えることから、さらに販売管理費が上昇し、利益を圧迫する」と見込んでいる。20年度はコロナ禍での営業制限もあり売上高が大幅に減少、営業利益の平均は1200万円の赤字に転落した。コロナ禍で客足離れも加速しており、今後も厳しい経営環境が続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)