トンガ噴火が及ぼす経済的影響は
2022年1月22日 08:43
●トンガで海底火山が噴火
南太平洋のトンガ諸島で14日、海底火山が噴火。火山灰や津波により、トンガ国内では最大8万人が被害を受けたとロイター通信などが報じている。
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インターネットがほぼつながらず、住民と連絡が取れない状況だが、死者や負傷者の報告は今のところ多くはない。日本や米国でも津波が観測された。
大規模な火山の噴火は、粉じんがとどまることで太陽光を遮断し、寒冷化を招くと言われている。
太陽光の遮断により、日照不足や作物の不良など、様々な混乱をもたらすことも懸念される。さらなるインフレにもつながりかねない。
●噴火の歴史
世界史においては、大規模噴火と寒冷化が様々な事件を引き起こしたとも言われる。
例えば、1783年のアイスランド・ラキ火山の噴火では、異常気象が起こり、農業に大きな影響を与えた。その影響はアイスランドだけでなく、ヨーロッパの広範囲に及んだ。
17世紀の30年戦争や清教徒革命などのヨーロッパの混乱も、寒冷化が原因と言われている。貧困と飢饉が深刻となり、間接的にフランス革命への原因になったと言われている。
江戸時代の富士山の宝永大噴火でも飢饉を起こした記録があり、天明の大飢饉は浅間山の噴火が原因という説もある。
1993年には冷夏により米が大凶作となった「平成の米騒動」が発生したが、その2年前のビナトゥボ噴火が原因と言われており、今回のトンガの噴火も天候不順をもたらすことが危惧される。
●経済への影響
天候不順は、特にトンガから近い南半球で危惧される。
ブラジルやコロンビアのコーヒー豆や、大豆の生産量が多いアルゼンチンなどの南米、トンガから最も近く乳製品が盛んなニュージーランド、オーストラリアの牛肉などへの被害も考えられる。
小麦や砂糖などの先物価格は上昇している。原材料のさらなる値上げも考えられる。
従来の噴火における懸案事項だった食料不安に加え、日照不足によるエネルギー問題が深刻化する可能性もある。
すでに、脱炭素化による自然エネルギーへの転換が進められており、今後さらなる電力料金の値上げといった混乱も懸念される。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)