オミクロン株の爆発に慌てふためき、アリバイ作りで飲食店をスケープゴートか
2022年1月22日 11:20
世界保健機関(WHO)の速報値によると、世界全体の新型コロナウイルスの新規感染者数は、1月10日から16日までの1週間で1873万人を記録して、3週間連続で過去最多を更新したことが分かった。
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新変異株であるオミクロン株が世界的な流行となり、WHOは年末年始に1千万人近くの感染者速報を出していたが、3日から9日までの1週間で約1500万人へと増勢を続けていた。対前週比の増加率は73%から59%、20%へと鈍化傾向が顕著だが、新型コロナウイルス感染症が世界で認知されてちょうど2年目となる時期に最大の感染拡大が続いている。
日本でも「第6波」が押し寄せて、20日には過去最多となる4万9854人の感染者が確認されている。感染者数が多いのはオミクロン株特有の感染力の強さと、PCR検査体制が整備されて来たことが相乗していると見られるが、すでに感染力は今までで最も強いものの、重症化率は低いという情報が周知されていたためであろうか、世情は落ち着いていると感じられる。
落ち着かないのは政治の世界だろう。9日から「まん延防止措置」の対象となっていた広島・山口・沖縄各県に続いて、東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・新潟・愛知・岐阜・三重・香川・長崎・熊本・宮崎の各都県に、21日からの「まん延防止措置」が適用になる。今後もさみだれ式に新たな道府県が追随することになるだろう。
対象地域の飲食店が施策の中心となることには変わりない。酒類の提供や営業時間に制限を設けて果たして「効果があるのか?」という疑問には素通りしたままだ。各都県の知事にとっては、「対策を取っている」という、アリバイになるという程度のものだと醒めた視線を感じるのは気のせいか。
ある保健所長によると、「ウイルスが喉などの上気道で増殖する特徴があるので、(肺までたどり着かないから)肺炎リスクによる重症化リスクが低い。咳や鼻水、急な発熱はあっても症状そのものは軽いし、無症状者も多いと考えられる。市販の解熱剤が効きやすく、服用すると熱が下がる例がほとんどだ。注意すべきは第6波で感染者の2割を占めるデルタ株だ。オミクロン株に紛れて見落とすことがあってはならない」という見解を披歴していた。
情けないのは政府分科会の尾身茂会長だろう。18日に岸田総理と面会して、「オミクロン株の特徴に相応しい効果的な対策を早急に打つことが要諦だ」と要請したと伝えられるが、専門家集団の座長が通り一遍の当たり前のことしか口にしないのは何故か。会長の役割は、どんな対策が必要なのかを具体的に総理にレクチャーすることである筈が、評論家みたいな要請をしたのみだ。
オミクロン株の特徴として伝えられているのは、前述したように「感染力は強い」が「重症化リスクは低い」だから、「・・・・」と要請すべきだろう。飲食店をスケープゴートにするアリバイ作りの片棒担ぎは、分科会会長の任ではあるまい。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)